Zの鼓動 Z432-R【1】空力パーツのアンダーカバーも! 「R」が付いた、特別なフェアレディZ「PS30‐SB/Z432‐R」|1972年式 日産 フェアレディ Z432-R

フロント下部にはアンダーパネルが装着される。オイルパンを保護する目的のカバーではなく、空力のためのパーツだ。グリル越しに見えるオイルクーラーもZ432-Rの標準装備

       
【1972年式 日産 フェアレディ Z432-R Vol.1】

 PS30‐SB/Z432‐R。ただのアルファベットと数字の組み合わせのはずだが、見た瞬間に心が躍ってしまう。そんな特別なフェアレディZこそ特集のトップを飾るにふさわしい。撮影スタジオに現れたZ432‐Rは、新車当時の姿に復元され、輝きを放つ、特別な美しき1台だった。

 フェアレディZの誕生は、今をさかのぼること48年前の1969年。日産は「時速200km/h以上の性能を発揮出来るクローズドボディのスポーツカー」を目指し、ロングノーズ&ショートデッキの流麗なボディに、6気筒2Lエンジンと4輪ストラットサスペンションを採用した、極めて優秀で、しかも安価なスポーツカーを開発。このS30Zが現行型も含めたフェアレディZシリーズの中で、最大のヒットモデルとなったことは、あまりにも有名だ。 

 その誕生に際し、日産は1965年発売の130型セドリックから採用されていたL20型エンジンの搭載を予定していた。だが、当時の日産自動車・故川又克二社長の「最高のエンジンを載せろ」の号令により、1969年2月から発売を開始していたPGC10スカイラインGT‐R専用エンジンだった名機S20型が、急きょフェアレディZにも積まれることに。同時に名称も「フェアレディZ432」という、特別感のあるものが授けられた。Z432は、4バルブエンジンの「4」、ソレックス3連キャブレターの「3」、ツインカムの「2」を表す。そう、その名前には、すでにスピードへの飽くなき思いが込められていたのだ。

 ここで日産は、もう1つの手を打つ。それがZ432のレーシングバージョン「Z432‐R」の販売だ。


>>【画像50枚】鍵穴もなく、ツマミをひねるだけで開く給油口や、レストア時の様子など





>> フロントフェンダーに付けられた「432」のエンブレム。短命に終わったが、この3つの数字が持つ特別感は今でも人々の胸を強く打つ。




>> リアスポイラーもボンネットと同じグレーメタのツヤ消し仕上げで、エンブレムは未装着。コーナーラバーのないスタンダードタイプのバンパーが標準装備だ。


1972年式 日産 フェアレディ Z432-R(PS30-SB)

SPECIFICATION 諸元
全長 4115mm
全幅 1630mm
全高 1290mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355 / 1345mm
最低地上高 165mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 960kg
乗車定員 2名
0→400m加速 15.8秒以下
最高速度 210km / h以上
登坂能力tanθ 0.462
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式ラックアンドピニオン(ギア比16.4)
サスペンション前/後ともストラット・コイル
ブレーキ前/後ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.95-14-4PR
発売当時価格 150万円


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ Z432-R(全4記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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