現役引退後の警察車両・240ZGの顛末【1】交通警察隊で活躍したパトロールカー|1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー

>> 通称、赤色回転灯の正式名称は「回転式警光燈」だそうで、小糸工業製だった。左右の補助灯は、タクシーで使われていたウインカーと同様で、前後のレンズが赤のもの

       

現役引退後の240ZGの顛末
【1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー Vol.1】

 警察のパトロールカー(パトカー)にスポーツカーが採用されるようになったのは、日本の高速道路網の広がりと関係がある。1967〜68年にかけて、管内に名神高速道路や東名高速道路を持つ京都、愛知、静岡、神奈川の各県警察が導入したポルシェ912を始め、1972年に部分開通した東北自動車道では、栃木県警がフォード・マスタング・マッハ1を採用。北陸自動車道では78年にポルシェ911SCが稼働を開始し、高速道路における安全走行のアピールや取り締まりに多大な影響を与えた。

 そんなスポーツカーをベースとするパトロールカーの中の1台が、今回の取材車両である1972年式日産フェアレディ240ZGだ。ご存じの読者も多いと思うが、この個体は日産ヘリテージコレクションに所蔵されているもので、実際に神奈川県警察高速道路交通警察隊で稼働していた。本誌でも2006年に1度誌面に登場しているが、改めて取材の機会が得られたので、特集取材に合わせて貴重な個体に再度会いに行ったのだった(取材時2017年)。



>> 当時のイメージで赤色回転灯を点灯させてみた。現代のLED仕様に比べると光量はかなり小さいが、パトカーらしさで言えばやはりこの筒型だろう。

>>【画像25枚】左から、Sボタンがサイレン、赤パイロットランプが赤色回転灯の玉切れ警告用、白ボタンがストップウオッチ用、Rボタンが赤色灯用、そして速度計測器の順となる助手席前のインストルメントパネルに付く計器やスイッチ類など





>> フロントカウルにたくさんの穴が開けられており、左側の奥にはスピーカーが収まっている。





>> 同様に右側は追加の膨らみもあり、中にはサイレンが入っている。





>> 左のリアフェンダーには四角い網目があり、こちらにもスピーカーが収まっている。追い越し車線から並走しながら「はい、パトカーの後にゆっくり付いてきてください」と言うための装備だ。





>> 独特の書体の「神奈川県警察」の文字は、すべて塗料による手書きだ。長年の使用によって、近くで見るとかすれているところも多くある。ボディ右側の表記は、右から左に向かって書かれている。


1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー(HS30)


ベース車のデータ 諸元
全長 4305mm
全幅 1690mm
全高 1285mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355 / 1345mm
最低地上高 160mm
オーバーハング(ボディ前端まで)1000mm / (ボディ後端まで)880mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 1010kg
乗車定員 2名
登坂能力 tanθ0.467
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L24型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 2393cc
ボア×ストローク 83×73.7mm
圧縮比 8.8:1
最高出力 150ps / 5600rpm
最大トルク 21.0kg-m / 4800rpm
燃料供給装置横向可変ベンチュリー(SU型)
燃料タンク容量 60L
変速 機前進5段 / 後退 1段
変速比1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比3.900
ステアリング型式 ラックアンドピニオン
サスペンション 前/後独立懸架ストラット / 独立懸架ストラット
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 175HR-14
発売当時価格 150万円

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー(全3記事)

関連記事: Zの鼓動

関連記事: フェアレディ

photo : MASAMI SATO/佐藤正巳 cooperation : NISSAN MOTOR CORPORATION/日産自動車

RECOMMENDED

RELATED

RANKING