ブルーバードをいじるとなると、真っ先に思い浮かぶのはP510系だ。
しかし、そんな王道には目もくれず、意表のベースを速くすることに燃える反骨のオーナーも数多くいるのだ。今回の標的は、P510の2代前となるP312。
OHVのC型エンジンを捨てSOHCのL型を積んだ「暴れん坊」の本質に迫る!
【1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード Vol.1】
初代ブルーバード(P310)の誕生は、1959年のこと。ダットサン初の前輪独立懸架を採用したセダンとして後世に名を残すが、ここに至るまでの歴史も実は長い。そのルーツは1914(大正3)年に生まれたダット号にまでさかのぼることができ、以後戦前のダットサン、戦後の110/210ダットサンと系譜は継がれてきた。
車体はセミモノコックのボディにラダーフレームを組み合わせたもので、主要パーツの多くは小型貨物車のダットサントラックと共有化させていたという。発売当初のエンジンは988cc、34 psのC1型と1189cc、43 psのE1型の2タイプが用意されていたが、1960年のマイナーチェンジ時に型式がP311に変わると同時に988ccは43 psに、1189ccは55 psへと出力アップ。4年に及ぶ生産期間の間には日本初の女性仕様車「ファンシーデラックス」を登場させたほか、ワゴン、オートクラッチ車なども発表し、1963年リリースのP410、そしてP510へと発展していく礎を築いたのだ。
>>【画像27枚】ホーンリング付きの純正ステアリングにパワーグリップを巻き、パワステなしの操作の負担を軽くするステアリング周りなど 今回の車両は、1963年式のセダン。型式でいうとP312となるモデルだが、2017年の2月に入手したオーナーによると、見つけた際、すでにL型エンジンに換装されている状態だったという。
ボンネット前端にDATSUNの青いエンブレムが装着される。
フェンダーミラーにはレイオットタイプを選択。運転席側はドア付近に、助手席側はヘッドライト寄りと、取り付け位置を左右で変えていた。
310系ブルーバードはマイナーチェンジに合わせ310、311、312と型式を変えていった。その中で312は、発売から1年でさらにマイナーチェンジを敢行。撮影車両は最後期のモデルとなり、テールランプのコンビネーションなどが違っている。
1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード(P312)SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:ルーカス・ヘッドライト、レイオットタイプレーシングミラー、前後バンパーボディ同色
●エンジン:L14型エンジン載せ換え(SUツインキャブ仕様)
●点火系:NGK・プラグコード
●冷却系:軽自動車用小型ラジエーター、電動ファン
●燃料系:ミツバ・電磁ポンプ
●駆動系:4速フロアシフト、C10スカイライン用プロペラシャフト
●サスペンション:(F)SP/SRフェアレディ用レース用ショックアブソーバー/クラウン用コイルスプリング、アッパーアームキャンバー角加工、(R)SP/SRフェアレディ用レース用ショックアブソーバー/ローダウンブロック
●ブレーキ:P510ブルーバード用マスターバック移植
●インテリア:ピボット・タコメーター、デフィ・水温計、スミス・時計、ユンハンス・ストップウオッチ、ダットサンロゴ入りシフトノブ、レスレストン・バケットシート、ACタイプバケットシート、ミニ用シートレール、ウィランズ・5点式シートベルト
●タイヤ:ダンロップ・ディレッツァ02G 165/60R13
●ホイール:ブリヂストン・スーパーRAP 13×5.5J
【2】に続く初出:ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1963年式 ダットサン ブルーバード 1000 スタンダード(全3記事)関連記事: 類は友を呼ぶ 関連記事: ブルーバード