4ドアセダンタイプで、一見おとなしい外観。そんな見た目に騙される事なかれ。その心臓部にはスポーツカー顔負けの高性能エンジンが搭載されている。そんなスポーツセダンたちの勇姿をここに紹介しよう。
【1992年式 日産 スカイライン 4ドアスポーツセダン GTS-t タイプM Vol.2】
【1】から続く 大幅にパフォーマンスが高まったのは、ボディサイズ縮小の恩恵だけではない。各メカニズムに採用された日産の最新技術も、多大な効果をもたらしたのだ。R31より受け継がれた4WS機構のハイキャスは「スーパーハイキャス」に進化し、タイプM系にはアルミ製対向ブレーキキャリパーをセット。スカイライン史上初めてラインナップされた4WD車にはGT‐Rと同じ電子制御トルクスプリット式のアテーサE‐TSを採用するなど、とにかく走りを意識したメカニズムを満載。搭載されるRB20DET型はR31からのキャリーオーバーだが、パワーと中低速トルクを向上させるADポートやボールベアリングタービンなどが新たに採用され、扱いやすさとパワーアップを同時に実現した。
新たにADポートを採用したことで、パワー&トルク、レスポンスが向上したRB20DET型。取材車両はエアクリーナーのみK&N製に交換済み。なお、タワーバーは純正オプション品だ。
ただし、ダウンサイジングしたことでデメリットも生じた。後席の居住性が悪化し、トランクの容量も減少したのだ。しかし、スカイラインという車種ゆえ、これらを犠牲にしてまでも高いスポーツ性を実現させる必要があった。ちなみに後継となるR33では、R32のデメリットを補うべくボディサイズを全車3ナンバー化し、主力エンジンを2.5Lに拡大。その結果、居住性や快適性は大幅に向上したものの再びスポーツ性が乏しくなり、走り志向のユーザーからは敬遠されることに。このようなこともあり、R32にはいまだに根強いファンが多いのである。
>>【画像17枚】タービンの軸受けを従来のメタルからボールベアリングに変更。これにより、フリクションロスが低減し、レスポンスアップを実現したターボチャージャーなど2速と3速にダブルコーンシンクロを採用した5速MT。キルスイッチ風のシガーライターが装着され、灰皿には櫻井眞一郎さんのサインが。
ダウンサイジングを敢行し、再び手に入れたスポーツ性。
1992年式 日産 スカイライン 4ドアスポーツセダン GTS-t タイプM(HCR32)SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4580×1695×1340
ホイールベース(mm) 2615
トレッド(mm) 1460(前後とも)
車両重量(kg) 1360
エンジン型式 RB20DET型
エンジン種類 直列6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 78.0×69.7
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 215/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 27.0/3200
変速比 1速 2.785 / 2速 1.545 / 3速 1.000 / 4速 0.694 / 後退 2.272
最終減速比 4.363
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション マルチリンク(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205/55R16(前後とも)
発売当時価格 270.8万円
【3】に続く初出:ハチマルヒーロー 2014年 11月号 vol.27(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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