「GT‐RはS20型の高回転域、このクルマは、L型特有のトルク感を楽しみたい」|1971年式 スカイライン 2000 GT Vol.1

外観は当時のイメージを残し、高度に作り込んだ大人のセダン。

       
【1971年式 スカイライン 2000 GT Vol.1】

 中身はキッチリと作り込むが、派手さはなるべく抑え、大人の4ドアセダンに仕立てられたハコスカ2000GT。気取らないルックスなので、普段使いやドライブにも気軽に使え、その気になれば岡山国際や備北などでスポーツ走行も楽しめてしまうオールマイティ仕様だ。

 車内にも製作コンセプトは継承されていて、武骨な印象を与えるロールバーは組み込まれていない。その一方で、スポット溶接やフレーム補強を駆使することで、屈強なボディに仕上げられている。そんな大人の遊び心が盛り込まれた1台を紹介しよう。

 7年前にハコスカ2000GTを手に入れたオーナーだが、実は2ドアのハコスカGT‐Rも所有している。

キャブ仕様のL28型改3.1L仕様を搭載したスッキリ作り込まれたエンジンルームなど【写真33枚】

「GT‐RはS20型の高回転域、このクルマは、L型特有のトルク感を楽しみたい」と、購入を決めたそうだ。

 製作テーマは、基本がしっかりとアップデートされた大人のセダン。

「内外装は多少ヤレていても、そのクルマが刻んできた年輪として受け入れることができる。でも、これからポテンシャルアップを図りながら、長く付き合っていくには、徹底した補修や補強が不可欠」というのがオーナーの持論。そこで、エンジンの製作と組み込みはオーナー自身がDIYで行うとして、ボディメイクや足まわり、吸排気系などの構築は「プロショップ ナカガワ」に依頼することにした。

 まず、オーナーが製作を担当したエンジンは、ノーマルのL20型に対し、L28型をベースにセレクト。亀有の鍛造ハイコンプピストン、L20型用コンロッド、LD28型改クランクによってボア&ストロークアップを敢行。3.1Lへと排気量を拡大する。ヘッドは、東名80度カム、バルブスプリングやリテーナーの強化も実施。もちろん、点火系などの強化、ソレックス50PHHキャブの組み合わせにより、300㎰を達成。狙い通り、力強さと伸びのあるエンジンに仕上がった。



ヘッドカバーの「MORE DRIVE」はプロショップナカガワのオリジナルブランド。カムは東名80度のリフト9.2mm。バルブはINφ46mm、EXφ38mmの軽量ビッグバルブ、亀有スプリング、クロモリリテーナーを組み込む。





キャブはソレックス50PHHで、デリバリーパイプはワンオフで製作し、リターン用のステンメッシュホースと組み合わせ、バルクヘッドへ配管。タコ足からの熱によるパーコレーション防止の遮熱板も製作し、キャブの下に設置。





ブラケットを製作して、ダイハツの軽トラ用のマスターバックを転用。小さいと街乗りで不安だが、あまり大きくてもコントロールしにくいため、適当なサイズを探し出した。



1971年式 スカイライン 2000 GT(C10)
SPECIFICATIONS 諸元
●エクステリア:69年式3分割フェース、FRPボンネット、テールレンズ埋め込み(リアガーニッシュレス)
●エンジン:L28型改3.1L仕様、ボアφ89mm×ストローク83mm、圧縮比12:1、東名製カム(80度/9.2mmリフト)、ビッグバルブ(INφ46mm、EXφ38mm)、亀有製スプリング/クロモリリテーナー/鍛造φ89mmピストン、L20型用コンロッド、LD28型用クランク
●点火系:亀有製デスビ、MSD製コイル&6AL
●吸排気系:ソレックス50PHH(ベンチュリーφ43mm)、等長タコ足、オリジナルワンオフマフラー
●燃料系:安全タンク、コレクター内inポンプ+ニスモ製ポンプ、オリジナルフューエルデリバリー
●冷却系:KOYO製改ラジエーター、フロントフェンダー内オイルクーラー
●駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、71Cミッション、R200デフ
●操舵系:エンジンメンバー加工、S30Z用ラック&ピニオンステアリングラック移植
●サスペンション:(F)車高調(R)リジッドメンバーカラー
●ブレーキ:(F)R32キャリパー+ラインロック(R)アルフィンドラム
●インテリア:デフィタコメーター&追加メーター(油温、油圧、水温)、オートメーター製追加メーター(燃料、燃圧)、レカロ製フルバケットシート(SPG)、ウイランズ製4点式ハーネス、他車流用ステアリングコラム&センターコンソール
●タイヤ:ダンロップ(F)ディレッツァZ1 195/55R15 (R)フォーミュラーR 205/55R15
●ホイール:パナスポーツG7 C8R (F)15×7.5J (R)15×8.0J


【2】【3】【4】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1971年式 スカイライン 2000 GT(全4記事)

関連記事: 次世代の旧車スタイル

関連記事: スカイライン

text : HIROSHI SHOUMATSUMOTO/正松本 宏 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

RECOMMENDED

RELATED

RANKING