パーツアシストの森川譲代表が所有する240ZGを、ツモリエンジニアリングがトータルチューン。L28型改3Lはインジェクション化が図られ、パワフルながらスムーズで扱いやすいエンジンに調教。電動パワステも装備して「普段使いができるハイスペック」を実現している。その一方で、イベントなどで「魅せる」ことも意識して、エンジンルームはワイヤータックをはじめとするカスタム手法を取り入れ、スッキリさせることにも挑戦。そのシンプルで美しい仕上がりは要注目だ。
【1971年式 日産フェアレディ 240ZG Vol.2】
【1】から続く ツモリエンジニアリングで制作されたエンジン。3.1Lや3.2Lに対する低中速のトルク不足を補うため、パイプ径や集合ポイントを厳選したタコ足をワンオフし、トルクフルで扱いやすい特性を狙う。マフラーもSUS304ステンレスのφ76.3mmを用いてイチから製作。完全なストレート構造であることにこだわり、サイレンサー内部のパンチングパイプも平板から作り出し、メインパイプと同径に設定。パンチングの穴の数や消音材で音量と音質を調整し、絶対的な音量は抑えながらも、ビッグバイクのような鼓動感あふれるサウンドを生み出している。
そして、ツモリエンジニアリングの経験とノウハウが凝縮されたフルチューンエンジンをメンテナンスフリーで堪能できるようにと、インジェクション化にも挑む。シングルスロットル仕様も提案したが、オーナーの森川さんと協議した結果、6連スロットルをチョイス。ビジュアルと吸気サウンドで旧車らしさを残しつつ、現代流のリメイクを融合させることで、カブリなどのキャブ特有のストレスを払拭し、安定性と扱いやすさを手に入れた。
エンジンの製作に伴い、硬化した配線やサビが進行していたボディのリフレッシュも実行するが、「どうせ、ほとんどのパーツを取り外すなら」と、エンジンルームのスッキリメイクを展開。不要な配線を間引いてワイヤータックを極め、溶接痕はパテで埋めて配線を固定するステーなども排除。最低限必要なものだけを残してスムージングを施し、ボディ同色で仕上げられた。
>>【画像33枚】不要な配線やステーは排除し、必要な配線もなるべく隠してセットアップ。溶接痕はパテで埋めてスムージングを行い、ボディ同色に仕上げる。まるで製作途中かと思えるほど配線や配管が見当たらないが、これで完成状態。究極のシンプルさのエンジンルームなどOERのスポーツインジェクションは、φ45mmとφ47mmのラインアップの中から、大口径のφ47mmを選択。インジェクターは4ホールの380ccを用いている。アクセルワイヤーの取り回しなどは、ツモリエンジニアリングが得意とするところ。今回は横方向に動くシステムとなっている。
ラジエーターはコンパクトなジムニー用のアルミ3層を採用し、リザーブタンクもアルミで製作。メンバーより前側にセットすることで、エンジンルーム内をシンプルに。
見た目はノーマル然とした240ZGだが、中身は最新チューニングでセットアップ!
1971年式 日産フェアレディ 240ZG(HS30)■エクステリア:ボンネット浮かせ仕様、マーシャル製ヘッドランプ+LEDバルブ、テールランプ、ウインカー類LED化
■エンジン:L28型改3.0L仕様(2947cc)、圧縮比12.0、オリジナルカム(76度、リフト10.3mm)、亀有製バルブスプリング、ASW製鍛造φ89mmピストン
■吸排気系:OER製φ47mmスロットルボディ、オリジナル等長ステンレスタコ足(6-2)&マフラー、ワンオフスロットリンケージ/燃料配管
■点火系:RB用ダイレクトイグニッション流用、ハルテック製スポーツ2000
■冷却系:ワンオフラジエーター、電動ウオーターポンプ
■燃料系:ボッシュ製インジェクション用燃料ポンプ、純正燃料タンク加工
■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、ワンオフクラッチレリーズバルブ
■サスペンション:パーツアシスト製車高調
■ブレーキ:(F)R32用キャリパー&ローター
(R)S14用キャリパー&ディスク
■インテリア:ナルディ製ステアリング、電動パワステ、AIM製MXSストラーダTFT液晶ディスプレイ、ステアリングコラム流用、ダッツンコンペシート、バッテリー移設
■タイヤ:ダンロップ ディレッツァZ2 (F)205/45R16
(R)225/45R16
■ホイール:レイズ ボルクレーシングTE37V
(F)16×9.5J (R)16×10J
【3】に続く初出:Nostalgic SPEED 2017年3月号 vol.012(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1971年式 日産フェアレディ 240ZG(全3記事)関連記事: L型チューン炸裂! 関連記事: フェアレディZ 【1】から続く