【キャラバンMY ROOM Launch edition 】本当に販売実現! 日産メイドの夢の車中泊仕様キャラバン

       


 車中泊仕様やキャンピング仕様の1BOXがもてはやされる昨今だが、日産自動車が“メーカーが本気で作ると車中泊仕様はこうなる”というコンセプトカーとして2022年の東京オートサロンに出展した「キャラバンMYROOM CONCEPT」。住宅の北欧風リビングを思わせるウッドフロア&ウォールや、後席にソファ形状のシートを装備する仕様が斬新だったのを記憶している方も多いだろう。


>>写真は2022年東京オートサロン日産ブースに展示されていたコンセプトカー「キャラバンMY ROOM CONCEPT」(編集部撮影)

 しかし、この手のコンセプトカーはありがちと言えばありがちなのだが、「キャラバンMYROOM CONCEPT」が他と異なっていたのは、ただの夢のクルマではなく、実際に販売することを当初から目的として計画されていたことだった。

その言葉通り、コンセプトカーである「キャラバンMYROOM CONCEPT」をついに市販モデルへとブレイクダウンした仕様がついにその全貌を現した。それが「キャラバンMYROOM」(2024年夏発売予定)だ。それに先駆けて発表されたのが、期間限定200台の販売となる特別仕様車である「キャラバンMYROOM Launch edition」だ。早速、実車が公開される発表会にうかがって、興味津々の車両を隅々までチェックしてきたのでリポートしていくこととしよう。

実際の車両を見た第一印象は“ほとんどコンセプトカーのまんま”。実車に落とし込む際に尖ったイメージがスポイルされてしまうようなこともなく、コンセプトカーを見たときと同様、いやそれ以上の衝撃を受けた。こんなクルマがメーカーから登場するとは……。まさに驚きのデビューとなった。

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最大の特徴はコンセプトである「マイルーム=自分のお気に入りの部屋」を車内で再現した内装装備だ。車内に乗り込むとキャラバンをベースにしているとはとても思えない“住宅のリビング”を思わせる内装が特別感満点。部屋を感じさせている最大の理由がクルマではあり得ないほどスクエアなデザインを取り入れている点。ノーマルのキャラバンを知っているユーザーならわかるだろうが、本来はルーフ周り、サイドウォール周りなどは丸みを帯びているのだが、「キャラバンMYROOM Launch edition」は徹底して直線基調のデザインにこだわる。

さらに各部には化粧合板を用いて、まさにウッディな内装をリアルに再現しているのも見どころ。車内のシートに腰掛けると、そこはまさに落ち着ける自分の部屋感覚なのはそんな仕掛けがあるからこそだろう。


 基本のレイアウトは前席2座に加えて後席として対面対座の2in1シート(3人掛け)を設置。リビングには折り畳み仕様(もしくは跳ね上げ式)のベッドを設置し、大人2名がラクラク就寝できるスペースを確保する。想定される使用シーンは旅好きな夫婦2人で出かけ車中泊を楽しんだり、車内で動画を見たり、読書をするなど、それぞれが思い思いの時間を自宅のリビングにいる感覚で過ごすこと。サイドウォールにはスリットが施され、前後自由な位置に設置できるスライドテーブルも備え、車内ランチからリモートワークまでに対応するのも、このクルマの多目的で自由度の高さを感じさせる部分だ。

 そんな車内利用の際に注目したいのが、多彩なシートアレンジだろう。その中心となるのが後席用のシートとして新開発された「2in1シート」だ。キャンピングカーにはありがちな対面対座タイプのシートで、座面を引き起こしてアレンジすることで前向き乗車/後ろ向き乗車/フラットアレンジに対応するシートだ。しかし、この2in1シートがすごいのはノーマルのキャラバン同様に5:5分割だという点、しかも左右が独立してスライドできるのも画期的と言えるだろう。

 さらに前向き乗車時の座面とベッド展開時のシート表面はやや硬めでハリのある素材を用いている。これは走行時の身体のホールド性&安定性の考慮、ベッド展開時の寝心地を考えた設定なのだ。対して、後ろ向きに座るソファアレンジ時には座面がソフトになるように可動するシート部の裏表で硬さが異なるクッションパッドを採用。こちらは停車時に車内でくつろぐシーンを想定、腰がしっかり沈む込むことでゆったりリラックスした座り心地を体感できる仕様とした。世界でも類を見ない画期的な2in1シート、このシートの専用開発だけでも「キャラバンMYROOM」の本気度がうかがい知れる

 また、キャビン後部には分割式のベッドマット(折りたたみベッド)を左右に橋渡しする形で設置するベッドを装備。後席の2in1シートをフラットアレンジしてドッキングさせると後席~キャビン後方までをフラットで広大なベッドスペースにすることができる仕組みだ。さらに架装オプションとして跳ね上げベッドも用意されている。こちらは右側のタイヤハウスを覆う家具に、スペシャルなヒンジを設けて、ベッド全体を右側に跳ね上げて収納する構造。ベッドメイクがワンタッチなのが素晴らしく便利な仕様だ。




 外装はグリルやドアミラーをブラックアウト。さらにホイールはあえて無骨なスチールホイールを採用し、ラギッドな道具感を演出しているのが特徴。ボディカラーには同グレードの専用カラーとして用意されているサンドベージュ/ホワイトの2トーンカラーは、ルーフ側からややピラー側に回り込む低い位置までをホワイトとする変則的な2トーンを採用、これはキャラバンの持つ商用車イメージを払拭してパーソナルカーとしての魅力を引き出す狙いがあるという(他にもピュアホワイト、ステルスグレー、ミッドナイトブラックと4色設定がある)。


>>専用カラーとなるサンドべージュ/ホワイト2トーンを用意。これまでに無い斬新な2トーンカラーはメーカー製車中泊仕様の意気込みの高さを感じさせる。
アウトドアで使いこなすギア感を演出するためホイールはスチール、ドアミラーやグリルはブラックアウトされる。

 日産がクルマメーカーとして本気で車中泊仕様を作るとこうなるという、隅々まで力の入った特別仕様車が完成した。今回取材した「キャラバンMYROOM Launch editio」の気になる価格は595万8700円(ガソリン・2WD)から696万4100円(ディーゼル・4WD)の設定、さらに跳ね上げベッドを選ぶと613万4000円(ガソリン・2WD)~714万100円(ディーゼル・4WD)となる。

 これまでに無いマイルームをコンセプトにした車中泊仕様、隅々のパーツ群にいたるまでクオリティの高さはピカイチ。おしゃれ&快適に車中泊を楽しむこの絶好のモデルを、どう使い楽しむのかはあなた次第だ。



>>「キャラバンMYROOM」の一番の目玉と言えるのが、後席に用として新開発された2in1シート。対面対座で前向き乗車/後ろ向き乗車/フラットの3つのアレンジに対応。5:5分割できるのも魅力。スライドレールにもこだわりスムーズな可動が可能だ。


>>標準装備されるベッドは4枚のベッドマットを横方向に並べてベッドアレンジする折りたたみタイプ。

>>左右ウォールに設置された家具をベース部分としてベッドマットを設置する。後席の2in1シートと接合してベッド面を拡大することもできる。


>>ベッドタイプは標準仕様の折りたたみタイプに加えて跳ね上げベッド(オプション)も用意される。

>>こちらは右側のウォール面にヒンジ(ダンパーも内部に内蔵している)を備えて、跳ね上げ開閉できるのが特徴。ダンパーの力で軽い力で展開/収納が可能だ。



>>車内はスクエアなデザインにこだわった。また各部をウッドで統一しているのも特徴。天井部分にはウッドのシーリングパネルを設置してダウンライトを設置。

>>クォーターウインドウにはウッドイメージを崩さないようにウッドのブラインドを設置。



>>スライド式のテーブルもキャラバンMYROOMの特徴のひとつ。サイドウォールの家具にはスリットが刻まれているのでテーブルを前から後ろまでスライド可能。取り外してリアエンドに収納できる。


>>キャビン後部にはロールスクリーンも装備し、車内シアターとして利用可能だ。

>>ベッドのマウント部分になる家具類は抜かりなく収納スペースとして活用されている。
車中泊で使用する小物類などを収納すれば車内もすっきり整理整頓できるだろう。

>>オプションのポータブルバッテリーを使った停車時換気システムも装備。エアコンの外気導入でフレッシュな外気を常に取り入れるシステムを持つ。

PHOTO/佐藤亮太 TEXT/土田康弘

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