【NOT王道!! クセモノ・スタンス】鮮烈ラッピング+ワイドボディ化で至高のイロモノ志すシビック革命児

'90年代後半のN1シビックっぽくも見えるゼッケン入りのレーシーなカラーリングは、ピストバイクのメーカー「チネリ」のフレームのような色使いを意識している。

       
ひと目で視界に飛び込んでくるのは、往年のN1シビックを連想させるレースカー風の鮮烈なカラーリング。

フィールズのキットにアレンジを加えたブリスターフェンダー化や、リアハッチのジェイズレーシングのカーボンウイングもホンダチューナーの王道を押さえたアグレッシブムードを放つEKシビック。

SSR16インチの深リムは114.3ピッチゆえにEK9のタイプRと思いきや、標準スポーツグレードのEK4型SiRが実のベース。あたかもサーキットマシンをオマージュした現代版のJDMスポコンを狙ったかにも思えるが、オーナーはVTECシビックやチョイ古のホンダ車のドープな造詣の持ち主でもなければベースに別段コダワったつもりもなし。強いてコダワったといえば、イマドキのシャコタンシビックの定番にハマらぬアプローチでの、誰とも被らぬカタ破りなスタンスビューティ。

実はこのEK4、インクジェット式のバイナルグラフィックスによる独創的ビジュアルセンスを表した走る広告塔なのだ。モノトーンとパステルグリーンを基調としたカラーリングは、何気にレース車両ではなく、イタリアのピストバイクのフレームカラーをお手本としたファンシーなオシャンティ感が特色。

さらにヒストグラムに着想を得たグラデーションも前衛的な見栄えを担うカナメで、単色のシンプルボディがお約束のスタンス系とは一線を引いた、“COOLなイロモノ”としてのアイデンティティを理屈ぬきで確立している。

クルマ一辺倒の作り手にはないカジュアルな感性がコーデに発揮されているほか、魅せるシャコタンカスタムのツボもキッチリ押さえた仕上がりも圧巻だ。

【写真10点>>クセモノEK4ハッチの全貌をチェック!】


>>ボンネットやクォーターパネルに用いた細い線を描いたグラデーションラインは、ヒストグラム(棒グラフ風のグラフ)をオマージュ。ラインの長さが一見バラバラのようで、キチンと左右対称で整えているのも見逃せない。


>>前後アクスルはDC2インテグラタイプRの前期96スペック用を移植し、ホイールハブを4穴P.C.D100→114.3に変更している。


>>ブリスターフェンダーは、ホンダツインカムのエアロブランドFEEL’S(フィールズ)が販売していた絶版のワイドボディキットがベース。


>>ボディサイドのプレスラインをあえてそらしたグラフィックスのライン取りも独特。


>>3DデザインのGTカーボンウイングは、大阪のホンダチューナー「ジェイズレーシング」製、グラフィックスとの色やカタチなどルックスの調和を最重視したチョイスだ。


>>GTカーボンミラーはAPRパフォーマンス製。国内正規では販売されていないため、本国アメリカからEKシビック専用品のGT3モデルを個人輸入で取り寄せた逸品。


>>ボディに合わせた調色でペイントしたホイールディスクは、見栄えを高めるべくメッシュの梨地部分を塗装前にポリッシュ。リムも鏡面仕上げでフィニッシュするなど、足元メイクもボディとの一体感を重視。速そうに見えてオシャンティ。カッコ重視のスタンスマシンだ。


>>ホイールはSSRフォーミュラメッシュの16インチで、アウターリム交換でF:8J/R:8.5Jにリバレルしたもの。ブリスターフェンダーでのレーシーかつシンプルなツラを演出すべく、ナチュラルキャンバーでのセッティングがコダワリだ。


>>車高調はクスコ製を用い、アッパーアームはあえて調整式に変更。スカンク2のロワアームはシート色と合わせたレッドを選び、アンダーキャリッジのアクセントとして用いた。


>>タイプRのアイコンである赤いレカロシートは同一車種EK9純正品をレールごとスワップ。ステアリングはルックス重視で選んだ小径30φで、グリップはボディカラー同色に。


『カスタムCAR』2018年5月号掲載
BASE CAR:シビック[EK4] 1997年型
SOURCE:バイナルクリエーション

PHOTO/佐藤亮太 TEXT/コンヒデキ

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