型破りなEV化!! BUGベースの次世代ヤングロッダー見参!!

       
ストックのガワでのスラムド路線がイマどきの目抜き役を務める空冷VW。だが、空冷ビートルがビンテージカーの世界的な市民権を得た現在があるのは、低価格の大衆車として海を渡ったアメリカの地で、数々のモディファイの洗礼を受けてきた歴史的背景ありき。なかでも往年のカリフォルニアVWでドラッグレーサーを源流としたルックスと速さの追求型として人気を集めていたカスタムワークがチョップトップであった。今やチョップどころかボディワークに凝ったビートル自体が少数派のなか、空冷VWのモディファイ美にガムシャラに挑んだハードコア作が「WiZカスタムビルダー」作の1973年VWタイプ1だ。解体行きを免れたボロ個体が実は当初の姿であり、若きビルダー予備軍のチャレンジでヘビーチョップを敢行。そして約7か月の大手術で21世紀のエコ・ロッドへと華麗なる蘇生を遂げたのである、

8インチの大胆なルーフチョップを受けたボディは、レイト世代の顔面を生かしたバンパーレスやポルシェのパナメーラ純正色のペイントも刺激的。ヘラフラッシュ流行を柔軟に取り入れた5スポークの極太リムも、ハの字を切るリアアクスル構造を持つベースを生かした足元の妙技と呼べるモノだ。そんなヤングエイジ流の奔放ぶりが全身からみなぎる型破りVWロッドは中身も痛快&前衛的。フロントフードの中にはWウィッシュボーン化されたコイルオーバーサスがお目見えのうえ、後ろのエンジンフードの中はEV駆動のモーターがイン!

セオリーを度外視しつつ、モディファイ重視型のカスタムで空冷VWの温故知新なカッコよさのツボを押さえた完成度は特筆モノ。まさに自由な感性の勝利といえるこのVWの作り手は学生というから驚きだ!

写真16点>>学生ビルダーたちが作り上げたチョップトップビートル!



>>8インチの大幅なルーフチョップは、Aピラーを純正の角度のまま天井の表面積を広げることでツジツマを合わせたスタイル。ウインドーは5mmと3mm厚のアクリル板を使い分けて、チョップした窓枠に合わせてカットした。ドアの三角窓も単にハメ込みではなく、純正のマウント部品を再利用して開閉可能としたのもポイント。


>>厚ぼったい純正ウインカーも、ボディに合わせて実はスライス済み。ボディカラーはポルシェのパナメーラ純正色コニャックメタリックにフラットベースを混ぜてマットブロンズ風を装う。



>>ティアドロップテール装着のリアフェンダーは、FRPのワイドフレアタイプをチョイス。黒光りのアルミはワーク・グッカーズの特注カラーでF:17×8J 0UT6/R:17×10J OUT10。この極太リムを履くべく、足回りは驚愕の大加工!!



>>縞鋼板のフロアやアルミのドア内張りがスパルタンムード漂う。グラント製の小径ステアリングやJAZのローバックシートなど、ムーンアイズを通じて入手のUSオートパーツも本場志向への高い志を物語る。センタートンネルに鎮座のボックスと後席部にはこの“E-VW”のパワーユニットの秘密が!?



>>エンジンレスで譲り受けた教材だったため、いっそのことEV化を敢行!! 市販コンバージョンキットのためシステムの取り付け自体が容易だったぶん、US製A.D.C.モーターを固定するマウントやバッテリーボックスといったEV化のショーアップに労力を注いだ。




>>Fサスは100系マークIIのWウイッシュボーンサスをナローアクスル化&シャシー側のマウント製作で移植。ステアリングもマークIIのラック&ピニオン式で、ブレーキのドラム→4輪ディスク化を実現。サスマウントに趣向が凝らされたFJ1600フォーミュラ用のコイルオーバーショックも隠れた見どころだ。



>>シャーシは鉄板が腐っていたフロアパンを角パイプ溶接で新規製作し、メインフレームと接合。その上に縞鋼板でワンオフしたフロアを載せるという下回りの苦心も。カスタムのみならず、廃車ベースゆえのレストアもかなりの厄介な手間ヒマを介しているのだ。




カスタムCAR2013年4月号掲載
BASE CAR:VW・タイプ1 1973年型
SOURCE:国際情報工科大学校

PHOTO/上田穂高

RECOMMENDED

RELATED