【VW・タイプ2ですか? いいえサ○バーです】その手があったかのボディスワップで、スーチャー付き660ccのタイプ2ピック爆誕!

       



こちらで紹介するT2(VW タイプⅡ)は“軽トラ”なのだ。いきなりタネ明かしをしたとて理解が追いつかないので、順を追って説明していこう。製作を担当したのは武蔵野のカスタム魔窟“ソウル・アート&ロッド”。同社と言えば、代表を務める伊藤サンの無茶と無謀を洒落でくるんでまとめ上げる独自のセンスがウリだが、このT2はまさにその象徴ともいえる1台だ。

コトの始まりは伊藤サンがキャブオーバーのトラックを欲しくなったことがきっかけだった。しかしダッジのD100→デカイ、初代ボンゴトラック→レア過ぎ、バネットやライトエース→遅い、とどれも伊藤サンのベース選びのレースでは予選落ち。そんな中スーチャー仕様のサンバーが「よく走るじゃん」と唯一予選を突破した。

しかしこのサンバーはあくまで“ベース車”だった。それもカスタムベースという意味合いどころか、本当に車体のベースとして使われるだけ! 実は伊藤サンはサンバーのフレームに他車のボディを載せる、ボディスワップを計画していたのだ。そして、どのボディを載せようか考えた末、サイズ感的にT2がいいと思い、ボディ目当てでパネルバン(何故トラックじゃなくてバンなのかは後述)を購入。しかしさぁいよいよ、というタイミングで伊藤サンの工場が全焼してしまう罹災に見舞われ、一旦計画は頓挫……。

しかし昨年、アーリーT2ピックを持つ大工・エムティラボ佐藤サンが、「仕事用に欲しい」とオーナーに立候補し、サンバープロジェクトは再始動することとなる。

プロジェクトの概要は、サンバーのフレームは一切イジらず、そこにT2のボディを載せるというもの。ホイールベースは短くなるので、早速ボディをショート化。トレッドもT2のボディに対してナローになるが、空冷VWカスタムの世界では“ナロートレッド”が定番メニューなので、これは狙いとしてあえてそのまま生かす方向に。ちなみにT2にはトラックがあるのに伊藤サンがわざわざバンをボディに選んだのは、「三方開のベッドが嫌い」だから。サイドシルエットが美しい一方開のベッドを作る為に、窓なしのパネルバンをベースとして選んだのだ。

>>【画像13枚】タイプ2の皮を被ったサンバーの詳細をCHECK!!



で、屋根をぶった切り、スライドドアはカットし全長を詰めつつスムージングして、本来T2には存在しない一方開のベッドをワンオフ。バンボディをトラック化したので、存在しないキャビン後方の窓及びパネルもサンバーの物を移植して製作した。

インテリアは車検を考慮し、完全にサンバーのまま、エアコンもキープ。シートやダッシュ周りはT2ボディとマッチングするよう巧みにアレンジされている。かくして完成したこのクルマは、オーナーのキャラクター(主に髪型)と“クルマとして第二の人生を歩んでいる”ことから伊藤サンが「あふろ2号」と命名(笑)。昨年のホットロッドカスタムショーに出展させ、VW好きたちからもサンバーだと気づかれない見事な変身ぶりで話題をさらった。
旧車の見た目で中身は最新、というのは誰もが思い描く理想のクルマだが、「あふろ2号」はまさにその具象化だ。


【『カスタムCAR』2020年4月号掲載】

BASE CAR:サンバートラック 1994年型
SOURCE:ソウル・アート&ロッド
OWNER:mt labo
SPECIAL THANKS:K’S collection、ERIGON、VINTAGE GARAGE FREAK、
My bows、FLAT 4、TIRE FITTER、福田製作所

PHOTO/南井浩孝 TEXT/鈴木貴義

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