【森、山、海に暮らす】自邸は”洞窟”、クルマは”走る応接間”。森と同化するOGATA YAMA+VAN LIFE

Base Car:2017年型 日産 NV400

       
日々の暮らしの中心となる住まいは、当然のことながら家主の嗜好が色濃く反映されるが、ここでは、自然に溶け込む 「住」を選んだ人々をご紹介。森、山、海を身近に感じるスローライフと、そんな暮らしを支える愛車のストーリーをご覧あれ。

ヒトの暮らしの原点に回帰した前衛的かつプリミティブな異空間

 杜の都、仙台の繁華街からクルマで走ること約40分。地元では登山やスキーのスポットとして知られる泉ヶ岳山麓だが、その小さな森の中に溶け込むような形で、非日常空間、その名も『OGATA YAMA』が存在する。俗世的なアウトドアライフと全く異なる価値観のもと、自らの世界観を投影した「自然に寄り添う人の暮らしの在り方」を、自邸とギャラリーを兼ね、形にしたのがOGATA YAMAの主である、OGATA Inc/. 代表の尾形欣一さんだ。ちなみに、OGATA Inc.は国内外の店舗、住宅など様々な建造物の設計施工や内装デザインを手がけてきた実績を持ち、家具を筆頭とする木工製品のアートワーク分野でも手腕を発揮している。



 そんな彼の長年の自邸の構想を、3年の月日をかけて竣工したのがOGATA YAMAだ。小山のような外観や洞窟のようなエントランス、ガラス張りのスケルトン住居など、一見すれば、その固定概念にとらわれない独創的なアーキテクチャーに誰もが衝撃を覚えるはず。しかしながら森の一部のごとく自然の中に調和した空間に身を置くことで、日々の文明社会から解き放たれた「無の心地よさ」と「癒し」を心の底から味わうことができるのだ。



 なおOGATA YAMAは事前予約制による一般入館(飲物付き)や、食事付きのロングステイも可能。また、期間限定で個展も開催している。予約はウェブサイトで受け付けているので是非アクセスいただきたい。

木のぬくもりに癒される移動式のオフィスのカーゴバン

 建築やアートの世界で、奔放かつ独創的な感性を発揮する尾形さんだが、マルチな多才ぶりはクルマ分野でもいかんなく発揮されている。プライベートでのクルマ好きが高じて実を結んだAMDとのコラボレーションを、自らの創作活動やビジネスシーンにシンクロ、バンライフという形態に投影させたのが、社用車として活躍中の日産NV400だ。



 ここでご紹介するNV400は、スペイン工場で生産されている欧州専売のカーゴバンで、現地ではルノーマスターの姉妹車として人気を二分する存在。尾形さんの愛車はイギリスから並行輸入した右ハンドル車の窓なしグレードがベースで、広々とした荷室を持つハイルーフボディをフルに活用したバンコンバージョン仕様。これを、いわゆるモバイルオフィスとして活用しているワケだ。



 天井や横側の戸棚も含めたウッド張りの内壁は手作りのワンオフメイドで、オフィスデスクや革張りのソファーも完備。さらに車中泊OKの簡易キャンパーに早変わりする合理的かつ利便性に優れた設計も見ものだ。建築デザイナーによる車内メイクは、まさにバンライフ的見地によるもの。その作り込みは一見の価値アリだ。

【画像19枚】尾形欣一さんは完全手作りの木製家具をも手掛けている。その家具たちは海外でも評価されている。詳細はコチラ!



>>中庭に面した大きなガラス張りのリビングは、人間の本能的な開放感や警戒心を取り戻すとともに、家を壁や塀で覆い隠すことを当たり前としてきた現代の生活様式へのアンチテーゼも込めている。



>>敷地内に隣接したアトリエでは、スタッフたちとの完全手作業のもと、店舗住宅のあらゆるインテリアや、オリジナル家具を手掛けている。オリジナル家具は、ニューヨークの古典やパリ国際見本市への出展などで、世界各国で高い評価を獲得。それら製品の一部はOGATAギャラリーで購入可能だ。

撮影協力
OGATA YAMA

宮城県仙台市泉区福岡字下鎖13-2
OGATA Inc. 隣
☎090-7067-2570(ギャラリー専用)




初出:OUTDOOR あそびーくるBOOK 2020年 Vol.07
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:2017年型 日産 NV400
協力:OGATA YAMA

文 / 金秀樹 写真 / サイトウタカシ、鳴海貴子

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