【Do Sports!】積載力もあるこのシトロエンの正体とは?背高のっぽなシトロエンが海へのお供。

Base Car:1987年型 シトロエン CX アンビュランス

       
サーフィンのお供となるのは、たいていワゴンか1BOX。むろん、ボード他、荷物多めだからそんな選択になるワケだ。長尺OK、ヘッドクリアランスも獲得、かつオシャレ。なんて理想を叶えるサーフトランポがコチラ、シトロエンCXアンビュランス。本記事ではそんなクルマを相棒にする、ベテランサーファーにご登場頂こう!

特装メーカーが製造した、アンビュランス用車両

 アメリカ西海岸ではサーフィンに行くためのクルマはサーフビークルと呼ばれ、ひとつのカーカルチャーとして認知されている。ただ、サーフビークルの条件は決して多くなく、個性を主張できるクルマであること、そしてサーフボードをはじめとしたサーフギアを運搬できること、以上の条件が満たされていればOK。決まりごとなんてあまりない。

 そんなサーフビークルの中でもダントツで変わり種となるのが、ここに紹介するシトロエンCXアンビュランス。おそらく多くの人がフロントマスクを見なければ車種をいい当てることすら難しいだろう。これはCXをベースに救急車向けに後部をストレッチし、ハイルーフ化したメーカー純正の特装車なのだ。フロントとリアのドアに幅のあるBピラーが追加されていることからも想像できるとおり、ホイールベースも延長されており、全長は5.5m、全高も1.9mもあるロングなクルマだ。



 日本ではもちろんだが、本国フランスでも非常に珍しい個体を、ここ日本でサーフビークルとして使っているのが竹村洋一さん。正直どういう経緯でこんな珍しい車両を入手したのかが疑問だったが、オーナーの素性が東京は品川区にあるシトロエン専門店JAVEL(ジャベル)の代表と聞いて納得だ。

「このクルマは今から20年ほど前にスイスで売りに出た車両で、最初から商売抜きで自分で乗るために入手した個体です。荷物は大量に入るし、ロングボードも車内に入るので便利ですよ」



 竹村さんは純粋にサーフビークルとしてこのクルマを所有しており、普段使いのクルマ(もちろんもう1台もシトロエン!)は別に所有している。それでもここ最近は毎週海に遠征しているので、年間で1万km以上走っているそうだ。そのため純正では2.5L NAエンジン+3速ATの組み合わせであるドライブトレインを、2.5Lターボエンジン+5速マニュアルの組み合わせに換装。巨大な車両だが、実は見た目からは想像できないほどキビキビ走るのだ。

【画像11枚】取材当時は御宿まで足を伸ばしての撮影。さすがに冬の海でのサーフィンなので水が冷たい!詳細はコチラ!



>>竹村さんをシャコタン好きと、誤解することなかれ。ご存知の方も多いかと思うが、シトロエンには独自の足回りシステム「ハイドロニューマチック」が装備されているため、車高は任意に設定可能で、停車時はベタベタの車高にすることも可能なのだ。エンジンを掛ければ、油圧で車高が上がる仕組みだ。



>>ハイドロニューマチックの操作スイッチはシフター脇に備わり、エンジンがかかっている状態であれば、一定の範囲内なら任意で車高の設定が可能だ。



竹村洋一
東京は品川区にあるシトロエン専門店 JAVEL(ジャベル)代表。若い頃からシトロエンが大好きで、何台も乗り継いできたが、このクルマは中でも一番のお気に入りだという。サーフィン歴は20代で4年、30代で5年、そして50代で取材当時4年目とブランクを挟んでトビトビなんだとか。アンビュランスは積載量が多いため、シーズンによってはサーフィン以外の、さまざまなアクティビディ用として活躍している。


初出:OUTDOOR あそびーくるBOOK 2020年 Vol.07
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1987年型 シトロエン CX アンビュランス
協力:JAVEL

文・写真 / 勝村大輔

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