現役引退後の警察車両・240ZGの顛末【2】展示館閉鎖で行き場をなくしたZ|1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー

>> 助手席前のインストルメントパネルに付く計器やスイッチ類。左から、Sボタンがサイレン、赤パイロットランプが赤色回転灯の玉切れ警告用、白ボタンがストップウオッチ用、Rボタンが赤色灯用、そして速度計測器の順

       

現役引退後の240ZGの顛末
【1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー Vol.2】

【1】から続く

 S30フェアレディZがデビューしたのは1969年11月で、Gノーズが装着された国内専売グレードの240ZGが追加されたのは1971年11月のことだった。このパトロールカー(パトカー)の初度登録は1972年3月で、市販車と同じ仕様のものが神奈川県警に寄贈されたと想像できる。点検記録簿などによると、約10年間にわたって現役で活躍していたようで、その間に約37万1000kmの距離を走っている。平均すると年間3万7000kmで1日約100kmの計算。主な行動場所は東名高速道路と第三京浜道路だったようなので、今から35年以上前に、赤色回転灯が付いた240ZGと遭遇したことがある読者もいるのではないだろうか。

 警察車両、特にパトロールカーの場合は、現役引退後は解体されることがほとんどのようだが、この240ZGはそれを逃れて展示用にそのままの姿で残されることになった。落ち着いた場所は横浜市神奈川区六角橋にある神奈川県警察交通安全センター内の展示館。この施設は違反者講習などが行われるところで、16年ほど静かな余生を送っていた。しかし1998年ころに展示館が閉鎖されることになり、その後の行き先がなくなってしまったのだ。



>> フェアレディ240ZGのフォルムもそのままに、パトロールカーに改造。こうして見ると、ルーフの先端に赤色回転灯が付けられていることが分かる。


>>【画像25枚】L24型が収まるエンジンルームなど。寄贈後オーバーホールされてから、現在まで保管されている。ちなみにオプションだったエアコンキットは装着されていなかった



>> ルームミラーは上下に2個あり、助手席側からもしっかり後方が見える。ルーフからつり下げられた電球は、寄贈時のままだそうで、書類を書くときに手元を照らす。




>> センターコンソールで通常ラジオが装着されている位置に、スピーカー用のアンプを設置。





>> 左右のシートとシートベルトは市販車と同じものを装着。実動時にはシートカバーがかぶせてあったのだろうか、37万km走行には見えないほどいい状態を保っていた。


1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー(HS30)


ベース車のデータ 諸元
全長 4305mm
全幅 1690mm
全高 1285mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355 / 1345mm
最低地上高 160mm
オーバーハング(ボディ前端まで)1000mm / (ボディ後端まで)880mm
室内長 835mm
室内幅 1390mm
室内高 1070mm
車両重量 1010kg
乗車定員 2名
登坂能力 tanθ0.467
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L24型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 2393cc
ボア×ストローク 83×73.7mm
圧縮比 8.8:1
最高出力 150ps / 5600rpm
最大トルク 21.0kg-m / 4800rpm
燃料供給装置横向可変ベンチュリー(SU型)
燃料タンク容量 60L
変速 機前進5段 / 後退 1段
変速比1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比3.900
ステアリング型式 ラックアンドピニオン
サスペンション 前/後独立懸架ストラット / 独立懸架ストラット
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 175HR-14
発売当時価格 150万円

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ 240ZG ハイウェイパトロールカー(全3記事)

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【1】から続く

photo : MASAMI SATO/佐藤正巳 cooperation : NISSAN MOTOR CORPORATION/日産自動車

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