わずか2年で強い印象を残したZG。ウエーバー3連に換装|1972年式 日産 フェアレディ 240ZG

キャブレターは純正のSUツインからウエーバー3連に換装している。

       
フェアレディという車名は、日産のスポーツカーの名前として、今なお、さん然と輝いている。そのルーツは、1959年6月に登場したダットサン・スポーツ(S211)にさかのぼる。翌60年1月にエンジン排気量を1Lから1.2Lにアップ。ダットサン・フェアレデーの車名が与えられ、輸出専用モデル(SPL212)として生産が続けられた。その後のSP/SR、S30フェアレディZと、国産スポーツカーの雄として、多くのファンを魅了したクルマであることは、皆がよく知っている。そんなフェアレディ各モデルを、個体それぞれが持つ「物語」と一緒に、振り返っていこう。

【1972年式 日産 フェアレディ 240ZG】

【1】から続く

 S30Zの両巨頭ともいえるZ432 と240ZGだが、この先厳しくなる 排ガス規制を前に1973年10月に販売を 終え、以降国内仕様はL20型エンジン 搭載車のみとなる。240ZGはわずか2年という短い販売期間だったがファンに強烈な印象を残し、今なお垂ぜんの的となっている。

 オーナーがこの240ZGを手 に入れたのは、巡り合わせだった。

 オーナーがZ好きになったのは、 1978年に放映された刑事ドラマ「大追跡」の影響が大きい。劇中にフェアレディZ2by2(GS31)が覆面パトカーとして登場。国際A級ライセンスも所持する女優の長谷直美さんのドライビングに、当時小学生だったオーナーは魅了された。そして18歳で免許を取得すると高校在学中にワンオーナーのGS31を購入した。しかし、見た目のカッコよさと逆に、この時代のZは排ガス規制とインジェクション化されたL20E型エンジンの搭載車であったため、走りが今一つであった。その後はDR30スカイラインなどに乗り継ぐが、26歳で結婚して子供ができると、クルマ趣味からしばらく遠ざかることになる。

▶▶▶【画像22枚】S30系フェアレディZ初期型の特徴である、縦方向に走るデフォッガーの熱線が入るリアウインドーなど



「NISSAN 2400・OHC」のロゴが入るタペットカバーに交換してある。海外仕様のL24型搭載車用に、1969年から1年しか出回らなかったバージョン。黒の結晶塗装で仕上げてある。




車台番号はHS30-112##。240Zシリーズは車台型式がHS30となり、ZはHS30S、Z-LがHS30、ZGはHS30H。





特徴的な縦デュアルマフラーは、純正オプションのスチール製のものが装着されている。


1972年式 日産 フェアレディ 240ZG(HS30H)
Specification 諸元
全長 4305mm
全幅 1690mm
全高 1285mm
ホイールベース 2305mm
トレッド前/後 1355 / 1345mm
最低地上高 160mm
車両重量 1010kg
乗車定員 2名
最高速度 210km / h
登坂能力tanθ 0.467
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L24型
エンジン種類 水冷直列6気筒SOHC
総排気量 2393cc
ボア×ストローク 83×73.7mm
圧縮比 8.8:1
最高出力 150ps / 5600rpm
最大トルク 21.0kg-m / 4800rpm
変速機 O.D付前進5段・後退 1段フルシンクロメッシュ式
変速比 1速 2.906 / 2速 1.902 / 3速 1.308 / 4速 1.000 / 5速 0.864 / 後退 3.382
最終減速比 3.900
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラックアンドピニオン式
サスペンション 前後とも独立懸架ストラット式コイルスプリング
ブレーキ 前/後ディスク式 / リーディングトレーリング式
タイヤ 前後とも175HR-14
発売当時価格 150万円

【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年10月号 vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 フェアレディ 240ZG(全3記事)

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【1】から続く

photo : ISAO YATSUI/谷井 功

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