プリンスから日産へと受け継がれたDNA。プリンスの名前が外れたスカイライン|1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.1

左右のヘッドライトとグリルが分割式になっているのが、初期型GT-Rの特徴だ。エンブレムのみ欠品により、70年式のものを流用している。

       
スカイラインは日本のクルマ好きにとって、特別なブランドであることは間違いない。
1957年4月、富士精密工業のセダンとして初代プリンス・スカイラインがデビュー。
61年2月に社名をプリンス自動車工業に変更した後は、名実ともにプリンスの屋台骨を支える
主力モデルとして進化していく。2代目S  50系時代の66年8月には、プリンスと日産自動車が合併。
日産スカイラインとして3代目C 10系、4代目C110系、そして5代目C210系と、それぞれ個性的なモデルが次々に登場。スカイライン物語は続く。

【1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R Vol.1】

 1966年8月1日。この日行われた日産自動車との合併により、プリンス自動車の歴史は終焉を迎えた。だが、長年磨き上げた技術力までもが途絶えてしまったわけではなく、それはS50系プリンス・スカイラインが日産・プリンス・スカイラインへと名前を変えて受け継がれていくこととなる。

 そして1968年8月、フルモデルチェンジを受け、プリンスの名前が外れたスカイラインが世に出る。「ハコスカ」の愛称で愛されるC10系だ。当初はセダン、エステート(ワゴン)、バンの設定で、エンジンはS57Dスカイラインデラックスに積まれていたG15型のみという組み合わせ。ここから2カ月遅れの10月には、6気筒のL20型エンジンを搭載したGT(GC10)を追加。さらに4カ月後の翌1969年2月、S20型エンジンを載せたGT‐R(PGC10)がデビュー。8月にはG18型を積む1800シリーズ(PC10)も登場した。


>>【画像19枚】PGC10専用のバケットシートは、中央の米粒柄生地が上下に長いのが特徴。助手席用のシートベルトは純正だが、ヘッドレストはオプションだ。パーツアシスト製のリプロに交換しているドア内張りなど



リアにガーニッシュが装着されるのもPGC10の特徴。69年式はツヤ消し塗装で、70年式は皮革風の処理が施されていて、テールランプも微妙に違う。エンブレムは初期型のアンチモニー製だ。






赤/白のGTエンブレムは、S50系プリンス・スカイラインの時代から愛用されていた最強の証し。それは当然、直系のGT-Rにも受け継がれた。





左フェンダーの純正アンテナはオプションで、隣の専用キー(チェスのナイト型)を使わないと引き出すことができない。


1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(PGC10)
SPECIFICATION 諸元
全長 4395mm
全幅 1610mm
全高 1385mm
ホイールベース 2640mm
トレッド前/後 1370 / 1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1775mm
室内幅 1300mm
室内高 1120mm
車両重量 1120kg
乗車定員 5名
登坂能力sinθ 0.490
最小回転半径 5.3m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.957 / 2速 1.853 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 (OD)0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティング・ボール(ギア比18.5)
サスペンション前/後 ストラット・コイル / セミトレーリングアーム・コイル
ブレーキ前/後 ディスク / リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45H14-4PR
発売当時価格 150万円

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 Vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 日産 スカイライン 2000 GT-R(全3記事)

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text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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