ありがちなハコスカのエンジンルームとは異なる風景 〜2017〜|1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.3

前後にオーバーフェンダーを装着しており、かなりの迫力だ。

       
「人は見かけによらぬもの」というが、同じことがクルマにも当てはまる。見た目の派手さ、ヤンチャさに気を取られていては、本当のポテンシャルを見失いかねない。そう、ゴールドボディに延長オバフェン、17インチのワイドホイールで固めた見た目が派手なハコスカの真の姿は、サーキット走行を得意とする実戦的なマシンなのだ。戦うために与えられた強力なウエポンとは、φ48㎜のMSRキャブレター。その真髄に肉薄する!

【1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.3】

【2】から続く

 キャブに目が行きがちなエンジンルームを改めて見直すと、全体の雰囲気が、ありがちなハコスカのエンジンルームとは何か違っている点に気付くに違いない。その原因は、パーツセレクトやワンオフパーツの製作を、東京の「マッスルカージャパン」に依頼していると聞いて納得した。同店は、マッスルカーと呼ばれる60〜70年代のアメリカンカーを扱っているだけあって、アメリカのエンジンパーツに対する造詣が深く、マスターシリンダーやラジエーターといった大物から、フィッティングやホースといった小物にまで、アメリカから取り寄せた見慣れない商品を使っているのだ。

 また、「ごちゃごちゃしたエンジンルームにしたくなかった」と話すオーナーの意向から、左右のタイヤハウスを利用し、助手席側にラジエーターのサブタンク、リザーバータンクとキャビテーション防止用のタンクが、左側にブローバイタンクが隠されている。これはただタイヤハウスの向こう側にタンクを追いやっただけでなく、ホースが壁面とつながるという見た目の斬新さにもつながっていく。


▶▶▶【画像39枚】刻まれた「まつおか」の平仮名が示すとおり、まつおかがMSR用に製作したインマニなど




ビルズのフルタップ車高調(10㎏/㎜)とピロテンションロッド、ピロのロワアームなどがフロントのサスを構成。ハブの剛性アップとガタ付き防止策として、ベアリング一体式となるS14用4Hハブも組み込んでいる。




運転席側のタイヤハウスにある出っ張りは、レース用のウィルウッド製オルガン式ペダルを装着するために、前方へ追い込むためのスペースだ。





助手席側のタイヤハウスの前方には、ラジエーターのサブタンクとキャビテーションタンクも装着されている。





こちらは後方のタンクで、ラジエーターのリザーバータンクとなる。



1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(GC10)
Specification 諸元
■エクステリア:オリジナル調色ゴールドオールペイント、FRP製ボンネット&トランク、プロテックフロントスポイラー(ゴールド)、ワンオフフロントスポイラー(ブラック)、前後バンパーレス、ワイパー取り付け位置変更、フロント三角窓&リアドアガラスポリカーボネート化、リアウインドー熱線なしガラス交換、須坂自動車オーバーフェンダー2㎝拡大、510スカイライン用フェンダーミラー(取り付け位置変更済み)、69年式ウインカーレンズ、70年式テールレンズ、リアアンダー切り欠き拡大加工
■エンジン:L28型改3.1ℓ(3131㏄)、ボアφ89.5㎜×ストローク83㎜(圧縮比12.2)、和光製ピストン(ピンハイト27㎜)&コンロッド、カム(74度、9.6㎜リフト)、バルブサイズ(INφ46㎜、EXφ36.5㎜)、LD28型クランク(後端6㎜カット)、亀有製ツインアイドラーギア、TIベイビー製アイドラーギアストッパー、オイルパン前溜まり仕様に変更、フラム製オイルフィルター、ヘッドカバー加工(先端出しブローバイ)、フェンダー内蔵ワンオフブローバイタンク&ラジエーターキャビテーションタンク&サブタンク、US製ホースフィッティング
■吸排気系: まつおか製MSR用インテークマニホールド(ワンオフアルミスペーサー付き)、MSRφ48㎜キャブ、特注ステンレスタコ足(6-2-1)、特注ステンレスφ3インチマフラー
■点火系:マロリー製デストリビューター、MSD製ブラスターHVCⅡコイル/タイミングコントローラー/6AL
■冷却系:サイドタンクアルミラジエーター、マッスルカージャパンワンオフファンシュラウド、ステンレスファン、ラジエーターリザーバータンクヒドゥン、キノクニ製オイルクーラー、ランマックス製デフオイル用油温計、プロショット製デフオイルポンプ、デフクーラー&タンク
■燃料系:キノクニ製コレクタータンク(4ℓ)、ホーリー製燃料ポンプ(純正タンク→コレクタータンク)、ニスモ製燃料ポンプ(コレクタータンク→キャブ)、ボッシュ製燃料フィルター
■操舵系:ラックアンドピニオン、電動パワーステアリング
■駆動系:OS技研製ツインクラッチ、ルート6製 3速クロスミッション+5速0.864フルクロス化、R180デフ(ファイナル3.9)、内田モーターワークス製アルフィンデフカバー、亀有製デフフランジ
■サスペンション:S14用4Hハブ移植、(F)ビルズ製フルタップ車高調(コイル10㎏/㎜)、ロワアームエンドピロ加工、ピロテンションロッド(R)ビルズ製ショックアブソーバー/コイル25㎏/㎜、内田モーターワークス製偏心ブッシュ、自作コイルマウント、ピロ式スタビリンク
■ブレーキ:チルトン製マスターシリンダー、レバー比調整ダイヤル(ペダル)、リアブレーキ油圧バランサー(F)APレーシング製4ポットキャリパー、フローティングφ330㎜ローター(R)APレーシング製4ポットキャリパー+サイドブレーキキャリパー、フローティングφ330㎜ローター
■インテリア:モモレースステアリング、ワークスベル製ラフィックスボス、カーキー製バケットシート(運転席)、ブリッド製バケットシート(助手席)、サベルト製ハーネス、ウィルウッド製オルガンペダル、Defiリンクメーター アドバンスZD/タコメーター、T.A.G.ami P-LAPⅢ、オートメーター製燃料計/燃圧計/電圧計、NGK製A/F計、デフオイル油温計、9点式ロールケージ
■タイヤ:フェデラル595RS(F)215/40R17(R)235/45R17
■ホイール:ワークマイスターM1 (F)17×9J(R)17×10J

【4】に続く

初出:Nostalgic SPEED 2017年3月号 vol.012(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(全4記事)

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【2】から続く

text : AKIO SATO/佐藤アキオ photo : RYOTA SATO(PHOTOROOM-SAKKAS)/佐藤亮太(サッカス)

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