レースで金字塔を打ち立てた元祖「R」|1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.1

取材車両は最終型のK4ヘッドを搭載。S20型はノーマルだが、オーバーホール時に純正ギア式オイルポンプを装着。点火系は、永井電子機器製MDIを組み込んで強化している。ただし、万が一のトラブルに備えて純正イグナイターも残している。

       
【1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R Vol.1】

「レースで勝つために生まれてきた」。GTーRほど、このフレーズが当てはまるクルマがあるだろうか。


 1968年8月に登場した3代目C10スカイライン。プリンス自動車工業と日産自動車の合併後、初めてリリースされたスカイラインだ。当初は4ドアセダン、ワゴンのエステート、バンというボディバリエーションでスタートし、エンジンは4気筒のみだった。しかし、同年10月にはバルクヘッド前方を延長し、6気筒エンジンを押し込んだGT(GC10)が追加された。

 翌年2月には初代GTーR(PGC10)がデビュー。4ドアセダンのボディには、レーシングカーであるプリンスR380に搭載されていたGR8型のノウハウをもとに開発された2L直列6気筒DOHCのS20型を搭載。ヘッドからブロックまで専用設計されたこのユニットは、国産市販車初の1気筒あたり4バルブを採用し、キャブは標準でソレックス40PHHを3連装。レーシングエンジンさながらの高度なメカニズムを盛り込み、当時の市販車トップクラスとなる160psというハイパワーを実現したのである。


▶▶▶【画像22枚】オーナーがレストア時にデッドストックの当時モノ(新品)を装着したリアの「SKYLINE」エンブレムなど


 加えて、スカイラインのシンボルだったリアフェンダーのサーフィンラインは、ワイドタイヤを収めるためにカットされるなど、GT‐R専用のボディメイクも施されていた。





リアウイングはFRP無垢素材で裏面に「SKYLINE」ロゴがない最初期型。





1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(KPGC10)
Specification 諸元
全長 4330mm
全幅 1665mm
全高 1370mm
ホイールベース 2570mm
トレッド前/後 1370/1365mm
最低地上高 160mm
室内長 1655mm
室内幅 1325mm
室内高 1110mm
車両重量 1100kg
乗車定員 5名
最高速度 200km/h
登坂能力tanθ 0.58
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps/7000rpm
最大トルク 18.0kg-m/5600rpm
トランスミッション型式 O.D付前進5段後退1段、ポルシェタイプ・サーボシンクロ式
変速比 1速 2.957 / 2速 1.858 / 3速 1.311 / 4速 1.000 / 5速 0.852 / 後退 2.922
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 100L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 コイルスプリング独立懸架ストラット/コイルスプリング独立式セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも 6.45H-14-4PR
発売当時価格 154万円

【2】【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-R(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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