「LZ14型エンジンのサウンドを聴いてみたい」オブジェだったレース用ユニットを、510ブルに搭載する|1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス  Vol.2

エクステリアはほぼフルノーマル、パワーアップに合わせて各部を強化。

       
【1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス  Vol.2】

【1】から続く

 初期型ノーマルの510ブルーバード。外観はハヤシレーシングのホイールが装着されているくらいでほぼノーマルの状態だが、エンジンルームにはレース用ユニットLZ14型が搭載されている。

 このLZ14型は、「73年日本GP」で使われたエンジン。1598cc(ボアφ87.8mm)のEGI仕様。最高出力200ps/94000rpm、最大トルク17kgm/6800rpm。シリンダーヘッドはアルミ合金製で、16本の吸排気バルブはチタン製を採用。バルブ挟角が34度と狭く、燃焼室は理想的な浅いペントルーフ型で、圧縮比は11.5〜12。アルミ鍛造ピストンは、フラットヘッドに深めのバルブリセスが切られ、鏡面研磨された鍛造スチール製コンロッドとセットで厳密な重量合わせが行われていた。また、カムシャフトの駆動は、ギアとチェーンを組み合わせた方式で、クランク側が4ステージのギア駆動、カム側がダブルローラーチェーンという独自のメカニズムとなっている。カムギア系を収めるハウジングが薄いのも特徴となる。 

 LZ型エンジンは、その後フォーミュラパシフィック、シルエットフォーミュラ(LZ20B型)などにも搭載された。ワークス以外にも、ごく少数は有力チームに販売された。

 そんな貴重なLZ14型エンジンを510ブルーバードに搭載したのは、「アモン旧車倶楽部」の小西義彦代表。搭載するLZ14型エンジンに関しては約13年前に知人から入手。その後はオブジェとして店舗内で大切に展示保管してあったものだ。

 ところが、アモン旧車倶楽部に集まるお客さんが、「LZ14型エンジンのサウンドを聴いてみたい」とのリクエストが多く寄せられていたこともあり、「やるしかないかな」と決意。そこで当時在庫していたL型搭載の2車種から、極上の初期型510ブルーバードがベース車に選ばれたわけだ(もう1台はバイオレットSSS)。


狭角DOHCヘッド、カムギアトレーン、ドライサンプ仕様のレーシングユニット。サイドタンク方式のアルミ製ラジエーターなど【写真25枚】




エンジンルームに収まるLZ14型エンジンが、このノーマルな外観の510ブルバードのイメージを覆し、宝石のような1台に感じさせる。





キャブはウエーバー48DCOEで貴重な対策前のイタリア製が装着されていた。ただし、当時の東名自動車によってφ50mm仕様に改造されているとのことだ。





美しい曲線を描くステンレス等長タコ足は、当時のワークス仕様を参考に、510ブルバードに合わせてワンオフ製作。ヘッド側に装着されている四角いパイプは、外付けのウオーターギャラリーでLZ専用。



【3】に続く


1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス(510)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:未レストアボディ(フルノーマル)
■エンジン:LZ14型改、ドライサンプ仕様、特注アルミオイルパン、ワンオフアルミ製オイルタンク(7L)、オイルキャッチタンク、特注ステンレスタコ足、φ50mmマフラー、ウエーバー48DCOES/P(φ50mm加工)
■点火系:デスビレス同時点火&MSDx2、レーシングプラグ(9番)
■燃料系:ミツバ製燃料ポンプ
■冷却系:ワンオフサイドタンク式アルミラジエーター、電動ファン、オイルクーラー
■駆動系:DR30用ツインプレートクラッチ、L型用ローバック5速ミッション、R180デフ+4ピニLSD
■サスペンション:(F)車高調+ピローアッパーマウント (R)レース用強化サス
■ブレーキ:(F)MK63キャリパー (R)アルフィンドラム
■インテリア:特注オートルックローバックバケットシート、RSC製機械式タコメーター、アモン旧車倶楽部オリジナルステアリング
■タイヤ:ヨコハマ アドバンネオバ 175/60R14
■ホイール:ハヤシレーシング14x7J


初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス (全3記事)

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photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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