吹け上がりの鋭さは感動モノ「さすがレーシングエンジン」|1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス  Vol.3

ダッシュボードやメーター回りは基本的には1967年式の純正で、160km/hまでのスピードメーターなどもそのまま。センターコンソールには、大森メーターの油圧計と電圧計を追加している。ABCペダルは、アクセルのみオルガンタイプで、ブレーキ&クラッチは吊り下げ式が標準となる。

       
【1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス  Vol.3】

【2】から続く

 アモン旧車倶楽部の初期型ノーマルルックの510ブルーバード。エンジンルームにはレース用ユニットLZ14型が搭載されている。「LZ14型エンジンのサウンドを聴いてみたい」と集まるお客さんにいわれ単体で展示していたエンジンを搭載することに。

 プロジェクトがスタートしたのは、2010年頃。仕事の合間に作業が進められたが、同じL型4気筒エンジンを搭載するとはいえ、ノーマルはターンフローのSOHC。かたやLZ14型はDOHCヘッドのため、エンジンを搭載するだけでもひと苦労。しかも、ドライサンプ方式のため、オイルタンクやキャッチタンクもワンオフ製作。また、当時の点火システムはさすがに劣化しているため、同時点火に変更するなど、搭載してから始動するまで、2年以上の月日が必要だった。

 ようやくエンジンがかかり、いざ510ブルーバードを走らせようとしたところ、さらに困った問題が発覚。ステアリング系統のリレーロッドがオイルパンに干渉するというトラブルだ。搭載したLZ14型は、もともとフォーミュラ用だったらしく、オイルパンにロッドが干渉していたのだ。解決策としては、510ブルーバードに合わせてオイルパンを加工するか、ワンオフで製作するしかない。オイルパンの製作は、タコ足やエンジンマウントの加工などを行った「吉良自動車」に依頼。約3カ月かかって、アルミ製のワンオフオイルパンが完成した。

 その後も、あれこれと仕様変更が施されているが、代表的なところでは、L型4気筒エンジン用のローバック5速ミッションへの変更、新品のハヤシレーシングホイールの装着などだ。

 エンジンを始動すると、「さすがレーシングエンジン」といえるレスポンスの良さ。軽くアクセルをブリッピングしただけで、吹け上がりの鋭さは感動モノ。そんなハイパワー&ハイレスポンスなワークス製レーシングエンジンを搭載し、道を走るという憧れの仕様に仕上がった510ブルーバード。甲高いエキゾーストノートを響かせてドライブする快感は、ほかのクルマでは絶対に味わえないものがある。


基本的には純正のままのダッシュボードやメーター回り。ベンチレーター位置に埋め込んであるRSC(HRCの前身)製の貴重な機械式タコメーターなど【写真25枚】





運転席と助手席は、純正の内装に合わせたレッドのオートルック特注のローバックシートに変更済み。リアシートは当時の純正のままで、レザーとファブリックのコンビネーション。当時としても、白いボディに赤い内装という、かなりお洒落な組み合わせだ。




ラジエーターの横に設置されているのが、ドライサンプのためのオイルタンクで容量は7L程度。手前の横向きのタンクはオイルキャッチタンクだ。



1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス(510)
SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:未レストアボディ(フルノーマル)
■エンジン:LZ14型改、ドライサンプ仕様、特注アルミオイルパン、ワンオフアルミ製オイルタンク(7L)、オイルキャッチタンク、特注ステンレスタコ足、φ50mmマフラー、ウエーバー48DCOES/P(φ50mm加工)
■点火系:デスビレス同時点火&MSDx2、レーシングプラグ(9番)
■燃料系:ミツバ製燃料ポンプ
■冷却系:ワンオフサイドタンク式アルミラジエーター、電動ファン、オイルクーラー
■駆動系:DR30用ツインプレートクラッチ、L型用ローバック5速ミッション、R180デフ+4ピニLSD
■サスペンション:(F)車高調+ピローアッパーマウント (R)レース用強化サス
■ブレーキ:(F)MK63キャリパー (R)アルフィンドラム
■インテリア:特注オートルックローバックバケットシート、RSC製機械式タコメーター、アモン旧車倶楽部オリジナルステアリング
■タイヤ:ヨコハマ アドバンネオバ 175/60R14
■ホイール:ハヤシレーシング14x7J


初出:ノスタルジックスピード 2016年 3月号 vol.009 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ブルーバード 1300 4ドアセダン デラックス (全3記事)

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photo:RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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