30度傾けて搭載! リアエンジン搭載の高性能クーペ| 1967年式日野 コンテッサ1300クーペ Vol.1

グリルレスの個性的なフロントマスク。前後ともにクッションゴム付きのフルガードバンパーを採用している。

       
【 1967年式日野 コンテッサ1300クーペ Vol.1】

 今はトラックやバスなどの商用車専業メーカーである日野自動車だが、かつては乗用車の生産を行っていた。

 1953年にフランス・ルノー公団と技術提携してルノー4CVをKD生産し、乗用車のクルマ造りを学び、1961年4月に自社のオリジナル車、伯爵夫人ことコンテッサ900を発売。ルノーと同じリアエンジン、リアドライブ方式とし、自社で開発した水冷直列4気筒OHV 893ccエンジンを搭載。サスペンションに進歩的な4輪独立懸架を採用し、エレガントなフォルムながら、高い走行性能を誇っていた。

 1964年9月にイタリアの鬼才ジョバンニ・ミケロッティがデザインしたコンテッサ1300を発売。基本的な設計はコンテッサ900を踏襲しつつ、ボディサイズを拡大し、内装や装備をより充実させた。エンジンは水冷直列4気筒OHVの1251ccを搭載。スタンダードとデラックスの2バージョンが用意されていた。

 その翌年、1965年4月にはスポーツタイプの4座式2ドアクーペモデルのコンテッサ1300クーペを追加。1300デラックスと比べて全長全幅は変わらないが、全高は50mm低く、クーペならではのスポーティーなスタイリングとなった。エンジンはセダンと同様の水冷直列4気筒OHVを搭載。圧縮比を8.5から9.0にして、SUツインキャブを組み合わせることで最高出力を10㎰アップして65㎰を得ている。ちなみに、このクーペ用エンジンをセダンに搭載したモデルがコンテッサ1300Sだ。



1967年式日野 コンテッサ1300クーペ(PD300)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4150mm
全幅 1530mm
全高 1340mm
ホイールベース 2280mm
トレッド前/後 1235/1225mm
最低地上高 170mm
車両重量 945kg
乗車定員 4名
最高速度 145km/h
登坂能力 tanθ0.43
最小回転半径 4.6m
エンジン型式 GR100型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1251cc
圧縮比 9.0:1
最高出力 65ps/5500rpm
最大トルク 10.0kg-m/3800rpm
変速機 前進4段・後退1段オールシンクロメッシュ
変速比 1速 3.70/2速 2.31/3速 1.40/4速 0.97/後退 3.09
最終減速比 4.11
燃料タンク容量 34L
ステアリング形式 ラック及びピニオン
サスペンション前/後 独立懸架ウイッシュボーン型/独立懸架スイング・アクスル
ブレーキ前/後 ベンディックス型ディスク/リーディング・トレーリング式
タイヤ前後とも 5.60-13-4PR
発売当時価格 85万3000円

30度傾斜支持のため、吸排気効率、冷却効率に優れているリアに搭載されたエンジンなど【写真23枚】



フロント中央に「日野自動車」のオーナメントを配置。





左右ドアの後ろに付くバッジは、国際エレガンスコンクールで、名誉大賞を連続受賞した証し。「グラン・プレミオ・ドノーレ」とスペイン語で書かれている。




左右リアフェンダー後方に車名とともに入る「gm」のエンブレムは、カーデザイナーであるジョバンニ・ミケロッティの頭文字。コンテッサ1300のセダンやコンテッサ900スプリントにも見ることができる。



【2】【3】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年 12月号 Vol.166(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式日野 コンテッサ1300クーペ(全4記事)

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photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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