国産初のラジアルタイヤ標準装着車は富士重工から|1968年式 スバル1000 スポーツセダン Vol.3|痛快スポーツモデル

小型セダンながら、2420mmのロングホイールベースを持つ。スポーツセダンの最低地上高は、ベースモデルに対して15mm低い165mmとなっている。

       

【1968年式 スバル1000 スポーツセダン Vol.3】

Vol.2から続く

 だがしかし、時代は味方をしてくれなかった。サニーとカローラが販売面で快進撃を続ける中、メカニズムが複雑で修理がしづらいという風評がたったスバル1000は、挽回の機会を徐々に失っていった。しかし富士重工業の心意気は、さらなる高みを目指していた。1967年11月にスバル1000スポーツセダンを追加。ツインキャブ化したエンジンでパワーをアップ、4速フロアシフト、タコメーターを中心に据えた3連メーターなどを採用。何より国産車として初めてラジアルタイヤを工場出荷時に装着し、スポーツモデルとしての存在感を強くアピールした。

Sportsの文字が誇らしげに刻まれた、ホーンボタンなど【写真6枚】

 取材車両のオーナーである徳永衛さんは、6年半前にスバル1000スポーツセダンを、2台同時に個人売買で手に入れた。一時抹消登録の書類があるものとないもの。それぞれの状態のいいパーツを生かして、書類があるほうを公道復帰させる計画だった。
「エンジンの焼き付き、ミッションの不良など、それぞれに欠点はありましたが、昔から乗りたかったクルマだったので、出たとこ勝負で購入しました。決断の理由としては、レストア経験豊富な頼れる先輩がいたからです」

 ベテラン整備士の端信弘さんと2人でレストアを開始。ボディをドンガラにして全塗装も済ませ、一気に2カ月ほどで完成させた。オリジナルの雰囲気を生かして、今後も維持するそうだ。

 取材車両のオーナーの徳永さん(左)と、レストアに協力した端さん。ともに中日本クラシックカークラブの会員だ。「今は年に6、7回、各地の旧車イベントに出かけるのが楽しみです」と徳永 衛さん。


SPECIFICATIONS 主要諸元
1968年式 スバル1000 スポーツセダン(A12)
●全長 3900mm
●全幅 1480mm
●全高 1375mm
●ホイールベース 2420mm
●トレッド前/後 1225/1210mm
●最低地上高 165mm
●室内長 1700mm
●室内幅 1270mm
●室内高 1125mm
●車両重量 705kg
●乗車定員 5名
●最高速度 150km/h
●登坂能力sinθ 0.400
●0→400m加速 17.7秒(2名乗車時)
●最小回転半径 4.8m
●エンジン型式 EA53型
●エンジン種類 水冷水平対向4気筒OHV
●総排気量 977cc
●ボア×ストローク 72×60mm
●圧縮比 10.0:1
●最高出力 67ps/6600rpm
●最大トルク 8.2kg-m/4600rpm
●変速機形式 前進4段・後退1段フルシンクロ
●変速比 1速 3.540/2速 2.235/3速 1.524/4速 1.038/後退 4.100
●最終減速比 4.375
●燃料タンク容量 36L
●ステアリング形式 ラック&ピニオン
●サスペンション前/後 ウイッシュボーン式独立懸架トーションバー/トレーリングアーム式独立懸架トーションバー・コイルスプリング併用
●ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも 145-13
●発売当時価格 62万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年7月号 Vol.163(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1968年式 スバル1000 スポーツセダン(全3記事)

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photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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