グループAを三菱とともに振り返る。海外での参戦活動をアドバンテージに活躍|1986年式 三菱 スタリオン 2000ターボ GSR-Ⅲ Vol.4|ハチマルレースモデルの超絶技巧

なかなか煮詰まらないライバルに対し、レース車両としての完成度の高さが大きな特徴だった。

       
【1986年式 三菱 スタリオン 2000ターボ GSR-Ⅲ  Vol.4】

MEMORY OF THE RACE「グループA」

 ラリー活動が主体、歴史的にサーキットレースはそれほど重要視してこなかった三菱が、シリーズの創設と同時に参戦を始めたのがグループAだった。実際には、三菱もトヨタと同じく海外での参戦活動が先行する形となり、JTC開幕時には車両のノウハウはかなり蓄積されていた。

 スタリオンが創設初期のJTC戦で安定した戦績を残したのはこのためで、ある程度のメカニズムを持つ車両を追加公認パーツで戦闘力を高める手法は、ボルボ240Tやローバー・ヴィテスと同じだった。これが日産、トヨタのグループAカーに先行できた理由だ。なかなか煮詰まらないライバルに対し、レース車両としての完成度の高さが大きな特徴だった。

 JTC戦での就役期間は1985〜1988年までの4シーズンと長かったが、相対的な戦闘力を保てたのはシエラ、BMW・M3といった第二世代のグループAカーが登場する1987年の中頃まで。インターTECでは、日本車で唯一、ボルボやジャガーの海外勢と争った車両として印象深い。

80年代のスポーツカーを象徴するリトラクタブルヘッドライトなど【写真6枚】

1986年式 三菱 スタリオン 2000ターボ GSR-Ⅲ (A183A) 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4410×1695×1320
ホイールベース(mm) 2435
トレッド前/後(mm) 1410/1390
車両重量(kg) 1260
エンジン型式 G63B型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 1997
ボア×ストローク(mm) 85.0×88.0
圧縮比 7.5:1
最高出力(ps/rpm) 175/5500
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/3500
変速比 1速2.452/2速1.452/3速1.000/4速0.688/後退2.212
最終減速比 3.909
ステアリング ボール&ナット式
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215/60R15(前後とも)
発売当時価格 262.9万円


初出:ハチマルヒーロー vol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1986年式 三菱 スタリオン 2000ターボ GSR-Ⅲ(全4記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo: ISAO YATSUI/谷井 功

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