涼しいっ! 純正オプションのクーラーは30万円。そのとき車両本体価格は? トヨタ・クラウンが先鞭をつけた高級車ジャンル|忘れ得ぬ日本の高級セダン Vol.1 

フロントドアが前ヒンジ、リアドアが後ろヒンジの観音開きドアも特徴的だった。

1947年にトヨペットブランドを興し、地道に技術力を磨いてきたのがトヨタだ。

55年1月には観音開きドアのクラウンを誕生させている。エンジンは1.5LのR型、水冷直列4気筒OHVだが、日本の量産車として初めて前輪ダブルウイッシュボーンの独立懸架を採用し、注目を集めた。革新的な設計の初代クラウン(と同時期に誕生したダットサン)の登場により、日本のモータリゼーションは一気に右肩上がりの上昇カーブを描くようになる。

 クラウンに刺激を受け、各メーカーはプレミアムセダンの開発にしのぎを削るようになった。2年後の57年春、プリンス自動車(この時期は富士精密工業)が送り出したのがスカイライン1500だ。初代のALSIは、今のスカイラインと性格がまったく違った。クラウンをライバルとして開発された高級セダンだったのである。

 スカイラインは、日本人の憧れだったアメリカ車を思わせるきらびやかなデザインで登場し、センセーションを巻き起こした。

排気量はクラウンと同じ1.5Lだ。このころの日本の小型車は、排気量1500cc以下に制限されていた。スカイラインは、5ナンバー車の頂点に位置するプレステージ性の高いセダンとして開発されている。

 その当時、このクラスの乗用車は、ほとんどがタクシーとハイヤーに代表されるフリート(法人)ユーザーで占められ、庶民に手が届くクルマではなかった。が、社長クラスの富裕層が、時代を先取りして購入するケースも増えてきている。そこで富士精密工業は、5ナンバーの小型車より1クラス上の普通車枠に踏み込んだ、大型プレミアムセダンの開発に乗り出したのだ。

それをきっかけに高級車は3ナンバーの世界へと進んでいくが、次回詳しく解説する。


 1955年に初代が登場したクラウンは、トヨタがそれまでのトラックシャシーをベースとした乗用車作りから一歩前進し、一からの乗用車専用設計に挑戦したクルマ。成功を収め、その名が今日まで続くトヨタの象徴となる。



塗装仕上げのダッシュボード下に付くのはカークーラーユニット。デンソー製のトヨタ純正オプション品で、車体価格が約100万円に対し、追加で30万円もした高級品。純正のコンプレッサーは故障したが代替品を付けており、今でも冷風が吹き出る。



 プリンス スカイライン1500デラックスの外観デザインは当時のアメリカ車の影響が強いもので、ボンネット先端のエンブレム、補助ライトが埋め込まれた大型グリル&フロントバンパー、サイドモールの採用、テールフィンとアメリカ車の黄金時代を思わせる特別なデザインだった。



50年代のアメリカ車のようなグリルとコンビとなったクロームの大型バンパーを装備。



インパネは右がスピード、左は水温計と燃料計、オイルとジェネレーター(電気系)の警告灯が配備されている。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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