【平成ミニバン白書 1-1】「天才タマゴ」80年代初期に構想されたミッドシップ・ミニバン|初代 トヨタ エスティマ 4WD ツインムーンルーフ Vol.1

この個体は前期型だ。98年のマイナーチェンジでトヨタエンブレムがグリル部分に移設され、ヘッドライトもシャープなデザインになるなど、デザイン面をリフレッシュ。

「天才タマゴ」のキャッチコピーが記憶に新しい初代エスティマ。ここ30年、40年の国産車でこれほど独創的なクルマは他にはない。そう断言できるほど、近未来的なフォルムのなかには創意工夫が詰まっている。では、他のクルマではできなくて、なぜエスティマが「あの」タマゴ型を実現できたのか。そして、その狙いはどこにあったのか。

 最大の秘密はエンジンとその搭載位置。エスティマは「床下」にエンジンを搭載するミッドシップで、後輪を駆動するという特殊なレイアウトを採用したのだ。この構想はなんと、デビューから8年も前の1982年頃には決まっていたという。もともとはハイエースワゴンの後継車として、次世代1ボックスワゴンの開発計画が立てられ、その検討がスタートしていたのだった。しかし、そもそもなぜ、こんな位置にエンジンを搭載する必要があったのか……。

 従来の1ボックスワゴンは多人数が乗車できるなどレジャー用途を中心に「使う楽しさ」が主役。キャブオーバーの1ボックスは高いユーティリティー性が魅力だが、半面、運転感覚はいわゆる貨物車的。そこでトヨタは、1ボックスワゴンの「使う楽しさ」とスポーティーカーのような「走る楽しさ」を妥協せずに両立することを目指した。だからこそのミッドシップだったのだ。



どこから見ても他の何にも似ていない斬新なタマゴフォルムは、今でも新鮮。ボディカラーはイメージカラーのガーネットレッドを含む全7色を用意。



ヘッドレスト一体型の特徴的なシート。サイドブレーキが右側にあるのはウオークスルーを実現するため。



2列目シートを回転させる3列目との対座モード。2列目がキャプテンシートなので、操作がラクなのもうれしいポイントだ。90度の位置でも固定できる。



リアスポイラーはデビュー時には設定がなかったアイテム。



手前側に大きくせり出したセンタークラスター。ここにエアコンやオーディオを集中配置。スイッチ類がドライバーに近くなるので操作性を高めている。純正のライブサウンドシステムの音質が好評とのこと。この上側のダッシュパネルは脱着可能で、そのなかにヒューズやリレーブロックが収められている。



3列目は左右に跳ね上げてラゲッジスペースを拡大。「これだけ広いのでバイクも積めるんです。汚れやキズが付かないように気をつけてます」と井上さん。


前後バンパーの四隅にある突起物はクリアランスソナーのセンサーで、オプション装備のアイテム。


SPECIFICATIONS
エスティマ 4WD ツインムーンルーフ(TCR21W)
全長×全幅×全高(mm) 4750×1800×1820
ホイールベース(mm) 2860
トレッド前/後(mm) 1560/1550
車両重量(kg) 1880
エンジン型式 2TZ-FE型
エンジン種類 直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 2438
ボア×ストローク(mm) 95.0×86.0
圧縮比 9.3:1
最高出力(ps/rpm) 135/5000
最大トルク(kg-m/rpm) 21.0/4000
変速比 1速2.452/2速1.452/3速1.000
4速0.730/後退2.212
最終減速比 前/後 4.300
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215/65R15(前後とも)
発売当時価格 345.1万円


ハチマルヒーロー 2019年 05月号 vol.53(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : Akio Hirano/平野 陽

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