【1988年式 トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー Vol.1】
クルマにはいくつかの駆動方式があるが、なかでもミッドシップは特別な存在だ。車両の最大の重量物であるエンジンを前軸と後軸の間に配置するミッドシップは、慣性モーメントが小さく旋回性能に優れる。ただし、専用シャシーを開発する必要があるため、レーシングカーや高級スポーツカーなど、限られたクルマでしか採用されなかった。しかしそんなあこがれのミッドシップが、MR2の登場によって我々の手の届くようになったのだ。
1983年に開催された第25回東京モーターショーで参考出品されたSV-3、これがMR2のルーツ。ショーで大きな反響のあったSV-3は、84年に「MR2」とネーミングを変えてデビュー。しかも、FFのE80系カローラ/スプリンターのコンポーネントを流用することで、リーズナブルな価格を実現させたのだ。
また、エンジンやミッションもカローラ/スプリンターのものを流用することで、コストを大幅にカット。メインとなるエンジンは1.6ℓ DOHCの4A-G型で、1気筒あたり吸気2本/排気2本の4バルブを採用。加えて、吸気制御システムのT‐VIS(トヨタ・バリアブル・インダクション・システム)やマイコン集中制御システムのTCCS(トヨタ・コンピューター・コントロール・システム)といった最新メカを搭載し、7700rpmという許容回転数とハイレスポンスを実現。最高出力は130psに達し、同じエンジンを積むハチロクのカタログでも「800rpmから7700rpmまでの到達時間はわずか0.98秒」と、その高性能ぶりをアピールしている。
>>【画像11枚】だれもが手軽に楽しめる あこがれのミッドシップマシン。なかでも取材車両は4A-G型にスーパーチャージャーをドッキングし、25ps/5.0㎏-mのアドバンテージを手に入れた4A-GZ型を搭載。NGK製のプラグコードを装着。スーパーチャージャー仕様は、エアアウトレット部分が盛り上がった形状のFRPエンジンフードバルジを採用していた【2】に続く>> 86年のマイナーチェンジでノーズがスラント形状になり、カラードフロントスポイラーが全車標準装備に。ボンネット先端に、鷲鷹類を模したエンブレムをあしらう。
>> リアフェンダー前方のエアインテークは、エンジンルームにフレッシュエアを取り入れるための装備。前期は上下に分かれたデザインだったが、後期でこの形状になった。
>> ボンネット下のフロントトランクルームには、スペアタイヤやジャッキ、車載工具が収納される。
【全ての画像を見る】
主要諸元 SPECIFICATIONS
MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー(AW11)● 全長×全幅×全高(㎜) 3950×1665×1250
● ホイールベース(㎜) 2320
● トレッド(㎜) 1440(前後とも)
● 車両重量(㎏) 1100
● エンジン型式 4A-GZELU型
● エンジン種類 直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
● 総排気量(cc) 1587
● ボア×ストローク(㎜) 81.0×77.0
● 圧縮比8.0:1
● 最高出力(ps/rpm) 145/6400
● 最大トルク(㎏-m/rpm) 19.0/4400
● 変速比 1速3.230/2速1.913/3速1.258/4速0.918/5速0.731/後退3.583
● 最終減速比 4.285
● ステアリング ラック&ピニオン
● サスペンション ストラット(前後とも)
● ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
● タイヤ 185/60R14(前後とも)
● 発売当時価格 225.0万円
【すべての写真を見る】【2】に続く初出: ハチマルヒーロー 2018年 3月号 vol.46
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1988年式 トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー(全2記事)関連記事:トヨタ