日本初のミッドシップレイアウト。超軽量2シーター・ピュアスポーツ|トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー vol.1

国内初かつ唯一無二のミッドシップとして大ヒット。

       
【トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー vol.1】

ターボ車が隆盛を極める中、トヨタは同じ過給機でもスーパーチャージャーを採用する車種を1980年代半ばに送り出していた。そんな中、これまでにないスポーツカーが誕生した。1984年6月に華々しくデビューした日本初のミッドシップスポーツとなるMR2だ。

 ミッドシップはF1をはじめとするレーシングカーに用いられる手法。クルマを構成する機関の中で最も重いエンジンをボディの中心近く(後輪車軸前)に置くことで、慣性モーメントを小さくし、旋回性能が高くなるメリットがある。その半面、荷重移動やアクセルワークに対して敏感にクルマが反応するため、コーナリングでトリッキーな挙動を示すというリスクをともなう。

 ドライバー専用にセッティングを施すレーシングカーならまだしも、大衆向け量産市販車として販売するには、ハードルもリスクも高すぎる。しかも、これまでなかったミッドシップレイアウトを造るには、通常であればシャシーから専用設計しなければならない。

 しかし、それでは高価になってしまう。そこでトヨタは、横置きエンジンFF車のパワーユニットを運転席後部に移設することで、安価なミッドシップを造り上げた。ベースはE80系カローラで、エンジンは1.6L DOHCの4A‐G型を搭載(3A‐L型もあり)。ツインカムのスポーツ系パワーユニットだが、130psという手頃なパワーで、足回りのセッティングもハードにしすぎなかったことが功を奏し、一般的なドライバーも扱えるクルマに仕立てた。とはいえ、車重1tを切るMR2の走りは痛快で、クルマ好きをとりこにした。

トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー Vol.2に続く



ヘッドライトはレイブリックのライトユニットに、レーシングギアのHIDシステムの組み合わせ。


純正サイズは前後とも185/65R14だが、撮影車両は前195/50R15、後205/50R15の異径に変更。ホイールはボルクレーシングのRE30で前6.5J+38、後7J+43。


マフラーは、埼玉県入間市の専門店「TBS」のオリジナルで、φ76mmのオールステン。フロントパイプも同サイズに交換されている。


Tバールーフは最終モデルのみハーフミラーガラスで、それ以外はスモークガラスとなる。



インタークーラーはノーマルで、クスコ製タワーバーはそれを逃げるために特殊な形状だ。


オイルクーラーは、埼玉県入間市の専門店「TBS」のオリジナルキットで、コアは19段のセトラブ製。前所有車から移植したもので、修正してあるが、筐体の凹みは事故の名残。


足回りはTBSオリジナルパーツで固める。車高調は前後ともに40段の減衰力調整が可能。バネレートは前7kg、後12kgのデュアルレート。フロントダンパーは容量アップを図るためにSW20用をインストールしている。


運転席左側に水温、油温、油圧、右側にブースト圧のデフィ製メーターを装着し、アドバンスコントロールユニットで管理する。


MR-2のボンネットエンブレム。


MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー(AW11)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 3950×1665×1250
ホイールベース(mm) 2320
トレッド前/後(mm) 1440/1440
車両重量(kg) 1100
エンジン型式 4A-GZE型
エンジン種類 直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
総排気量(cc) 1587
ボア×ストローク(mm) 81.0×77.0
圧縮比 8.0:1
最高出力(ps/rpm) 145/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 19.0/4400
変速比 1速3.545/2速1.904/3速1.310/
4速0.969/5速0.815/後退3.250
最終減速比 3.941
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット式(前後とも)
ブレーキ 前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
タイヤ 185/60R14(前後とも)
発売当時価格 225.0万円

掲載:ハチマルヒーロー vol.17 2012年5月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Makoto Inoue/井上 誠

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