レースで活躍したロータリーエンジン【1】コスモスポーツから787Bまで。レーシングロータリーの歩みを振り返る

1968年、ニュルブルクリンクでのマラソン・デ・ラ・ルート84時間レースに参戦したコスモスポーツ。ロータリーの潜在能力をPRするために選んだイベントだった

       
乗用車の開発に並行し、レース活動にも積極的に参加してきたマツダ。
マツダのレース参戦史は、ロータリーエンジンの開発史ともいえる。
モータースポーツの世界でも独自の地位を築いたマツダの歴史を見ていこう。

軽量コンパクトでハイパワー。ロータリーエンジン搭載車はレースでも活躍

【画像7枚】国内でスカイラインGT-Rやトヨタ1600GTなどと競い合ったロータリーエンジン搭載のファミリア、カペラ、サバンナ

1960年代当時、企業の生き残りをかけ、マツダがロータリーエンジンに取り組んだことはよく知られている。
ロータリーエンジンはもともと、軽量コンパクトで高出力という点に特長があった。
これを最大限生かし、搭載第1号モデルを実用車ではなくスポーツカー、コスモスポーツとしたのは納得できる方策だった。

さらに、マツダはこの高性能ぶりを実証できる場としてサーキットレースへの参画を選択。
好成績を残せば車両の優秀性が示されることになり、華々しい存在のモータースポーツは、それだけで注目を集めやすかった。
 
1967年に市販されたコスモが、初めてサーキットレースに投入されたのは1968年8月。
ドイツのニュルブルクリンクサーキットで開催されたマラソン・デ・ラ・ルート、通称ニュルブルクリンク84時間レースだった。

レギュレーションで大幅な改造が禁じられ、手を加えた個所は吸気ポートやキャブレターの変更などにとどまったが、レースが始まってみると終始上位を走り、最終的には4位を獲得。
ロータリーエンジンの持つ高性能ぶりをいかんなく証明してみせた。

ロータリーエンジン搭載の第1弾を注目度の高いスポーツカーカテゴリーを選んだマツダは、第2弾として今度は一転、実用性、普遍性を訴求するため、ファミリアロータリークーペとして実用化。後に4ドアセダンも追加されたが、1〜1・2リットル級カテゴリーの小型クーペが2リットル級のエンジン出力を備えたわけだから、どう考えても遅かろうはずもなかった。

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>>1968年、ニュルブルクリンクでのマラソン・デ・ラ・ルート84時間レースに参戦したコスモスポーツ。ロータリーの潜在能力をPRするために選んだイベントだった。



>>ノーマル+α程度の性能で臨んだコスモスポーツによるニュルブルクリンク84時間レースは、2台とも終始上位を走り、最終的に1台が4位で完走する快挙を演じた。


>>コスモスポーツに次ぐロータリー第2弾としてリリースされたファミリアロータリークーペ。1969年、ツーリングカー耐久として世界最高峰に位置するスパ24時間に参戦した。
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【2】へ続く

レースで活躍したロータリーエンジン(全4記事)
初出:ノスタルジックヒーロー 2020年4月号 Vol.198

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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text:Akihiko Ouchi/大内明彦  photo:Akihiko Ouchi/大内明彦、Mazda/マツダ

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