幻の4気筒DOHCユニット動態保存計画【2-3】倉庫で数個だけ発見された当時のロッカーアームをベースに。キーワードは「穴」|トミタクガレージ再生プロジェクト#02

左が日産純正のL型用ロッカーアームで、右が今回鋳造したTC16-MA2用の加工前。支持の仕方は異なるものの、並べて比べてみると、支点の位置、カムとの摺動面までの距離、アームの形状等、よく似ている。

OS技研の倉庫内で長年眠っていたTC16-MA2を、今の技術で復活させるプロジェクト。2回目は、欠品していたMA2用のロッカーアームを製作する。製法は当時と同じ「砂型鋳造+旋盤加工」でリアルに再現。創業者の岡崎正治さんが、L型用を参考に手探りで設計したといわれるロッカーアームが、愛弟子のトミタクこと富松拓也さんの手で慎重に再現される。

【トミタクガレージ再生プロジェクト#02 Vol.3】

【画像13枚】当時と同じ「砂型鋳造+旋盤加工」でMA2用ロッカーアームを忠実に再現

倉庫で数個見つかった当時のロッカーアームをベースに作った治具を旋盤にすえ付け、まずはロッカーシャフトを通す穴を開ける。この穴が、すべてのロッカーアームの基準になる。

ロッカーシャフトを通す穴を開けたら、次はバルブとのすき間を調整するためのアジャストスクリューを取り付ける穴を開ける。続いてカムの当たり面に特殊合金を溶射する。溶射とは、金属部品の表面に、溶融させ微粒子状にした金属を吹き付けて皮膜を作る技術のこと。


>>左が日産純正のL型用ロッカーアームで、右が今回鋳造したTC16-MA2用の加工前。支持の仕方は異なるものの、並べて比べてみると、支点の位置、カムとの摺動面までの距離、アームの形状等、よく似ている。



>>ロッカーアームの加工第1段階は穴開け加工。まずはロッカーシャフトを通す穴を開け、続いてバルブクリアランスを調整するアジャストスクリューを通す穴を設ける。ちなみに当時のロッカーアームやロッカーシャフトに、現行のようなオイルを循環する機能はなかった。
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【4】へ続く

初出:ノスタルジックスピード vol.024 2020年4月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

トミタクガレージ再生プロジェクト#02(全4記事)

TEXT:HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 PHOTO:MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) COOPERATION : MIZUKAMI AUTO/水上自動車工業

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