【進化する「頭文字D」レプリカ 最終回 vol.1】
いまでも耳の奥に残る、京都・嵐山に響いたシェイクダウン時の咆哮。スーパーチャージャー(S/C)の勇ましいコンプレッサー音と、カーランド新作マフラー「TYPE‐D 60 S」の極低音のハーモニー。それがいま、東京のど真ん中に響いている。
1年以上にわたる製作期間を経て、「頭文字D」登場キャラクター、秋山渉仕様のAE86レビンはいま、オーナーである声優・鶴岡聡さんの手元にある。
全ての画像をみる 待ちに待った納車から約2カ月。以来の走行距離はすでに3000kmに迫ろうとしている。カーランド得知代表のメソッドによれば、もう初回のオイル交換の時期を迎えるタイミングだ。「中2日と空けずに乗っている」という秋山仕様レビンは、仕事の足に、クルージングにと、生活の、身体の一部となりつつある。
「急の付く動作を避け、いたわりながら乗る練習中です。シンクロとギアを守るため、ダブルクラッチを多用してます」
減速しながらのヒール&トゥ。往年の中嶋悟のドライビングスタイルが脳裏をよぎりながら、鍛錬に励む。
「アウトプットシャフトとインプットシャフトの回転差を極力生まないよう、マニュアル車に乗るのは2年ぶりというのもあり、クラッチミートの基本を忠実に繰り返しています」
これだけ自在に操れる背景には、得知代表がしっかりと事前に慣らしを済ませていたから。愛のあるラッピングのおかげなのだ。
季節はハチマル車には厳しいシーズンへと突入していく。高速で回転するコンプレッサーを持つS/Cとオイル系統が共通のため、油温には最大限気を配っているという。
「得知さんにはMAX130℃まで許容範囲と聞いているんですが、120℃からレッドゾーンと考えています」
夏場の推移を鑑みつつ、オイルクーラーの導入も検討している。
巡航のときはエアコンをOFFにし、コンプレッサーへの負荷を減らすことも忘れてはいない。
これら得知代表から教わった一連の「儀式」を、むしろ楽しんでこなしている鶴岡さんなのであった。
秋山仕様レビンを迎えるための、専用のガレージも用意した。保管場所への心配はないが、出先でのセキュリティ対策としていくつかのプランが構想にあるという。バッテリーへの負担の少ないアナログ的な盗難防御策を近日実施予定だ。
【画像11枚】六本木ヒルズ・けやき通りでも存在感を放つ秋山仕様レビン。自身の生活圏では初見のフォルムなのだろう。振り返るセレブの姿も多かった>>秋山仕様レビンのあゆみ|2015年12月
まず得知代表がベース車の選定。逆風の環境のなか、奇跡の個体と遭遇。現代に至るまでトヨタディーラーにおい点検整備を受け続けてきた、極上フルノーマル車両、さらに秋山仕様を再現するにふさわしいサンルーフ付き車両だった。
>>秋山仕様レビンのあゆみ|2016年6月
そのまま乗り続けても十分すぎるほどの品質のベース車を、惜しげもなく丸裸に。ボディを延命させるために無用な補強を嫌う得知代表のポリシーに準じ、しなりを生かしサビにも強いボディを製作していく。フェンダーもツメ折りなしのノーマルをキープ。
【2】へ続く進化する「頭文字D」レプリカ 最終回(全3記事)初出:ハチマルヒーロー 2017年7月号 Vol.42
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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