2年に1度のインターバルで開催される「ル・マン・クラシック」が、2018年も7月7〜8日にかけ、ル・マン24時間レースと同じサルト・サーキットで開催された。文字どおり、かつてル・マンを走ったマシンによるヒストリックカーレースである。その一部始終をテーマに沿って紹介する。
【2018イベント振り返り ル・マン・クラシック2018 vol.1】
2000年に第1回大会、以後2年に1度の割合で開催を重ね、2018年で10度目を数えたヒストリック・イベントがル・マン・クラシックだ。
ル・マン・クラシックは、その名のとおりACO(西部自動車クラブ)が1923年から開催を続けるル・マン24時間にちなんだヒストリックカー・レースで、コースもル・マン24時間レースと同じサルト・サーキットを使う。
レースも24時間で行われるが、この「24時間」の意味が少し違っている。通常のル・マンは、連続した24時間で争われる単一レースだが、クラシックのほうは、年代に応じてクラス分けを行い、それぞれのクラスが入れ替わりで1時間弱のレースを走り、その合計が24時間になるタイムスケジュールで組まれていることだ。
具体的に言うと、1923年から1981年までの期間をグリッド1からグリッド6まで6つの時代に区切り、それぞれ1時間弱のレースを3回行い合計成績で優勝を争う競技設定だ。
参加可能な車両は、過去のル・マン24時間に参加した車両かそれの同型車で、当然ながら仕様は当時に準じなければいけない。すごいのは、各グリッドともル・マン24時間のフルグリッド台数、すなわち50数台によって成立していることだ。
もちろん、応募台数はこれより多く、参戦すること自体が狭き門となっている。それが6グリッド分、すなわち330台前後が集うことになるのだから、広大なル・マンのパドックスペースをもってしても手狭な状態となってしまう。
また、主催するのはピーターオートだが、ここがヨーロッパでシリーズ戦を組み、人気を博しているグループCレーシングを傘下に収めたことで、前回大会から6グリッド+グループCカーレース(82〜93年)によるイベント構成となり、ヨーロッパでも有数の規模、内容のヒストリックイベントに上り詰めている。
【画像31枚】過去のル・マンに参加した車両と、その同型車が計330台前後集結。かつてのル・マンがよみがえる>>近代レーシングポルシェの始点となる906(前)と904(後)。60年代中盤のスポーツカーレースを支えた車両で、2Lながら格上の車両を倒すジャアイントキラーぶりを発揮。
>>1969年、ポルシェはコースによって908のボディタイプを使い分ける戦術を採った。ツイスティでテクニカルなコースには軽量でハンドリングに優れたスパイダーを投入。写真は1970年の市販モデル、タイプⅡ。
>>ル・マンにはポルシェ935以外のグループ5カーも参戦。その中で、よもやと思わせたのがフェラーリ512BBのグループ5仕様。正直に言えば、オリジナルの美しいフォルムはどこへ? と当時は思われていた。
初出:ノスタルジックヒーロー 2018年 12月号 Vol.190
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
2018イベント振り返り ル・マン・クラシック2018(全3記事)関連記事: 2018イベント振り返り【2】に続く