発売当初の価格が30万円! 「わが国で一番安い乗用車」とうたわれた小さなクーペ|1962年式 マツダR360クーペ【2】

2ドアクーペながら、丸っこく愛らしいデザインは「スポーティー」と言うよりは「キュート」といったほうがしっくりとくる。リアウインドーはガラスではなくアクリル製。

       
【1】から続く

【1962年式 1962年式 マツダ R360 クーペvol.2】

発売当初の価格が30万円というのも驚異的で、直接のライバルであったスバル360が58年に発売された時の価格が36万5000円であったことからも「わが国で一番安い乗用車」と大々的にうたっていたことにも納得である。

そして何より、R360クーペの大きな特徴がその個性的なデザインだ。後席を割り切った2+2のクーぺスタイルは未来的なイメージをもたせつつも可愛らしさを感じる造りで、今見ても古さを感じない、秀逸なスタイルになっている。

オーナーがこのR360クーペを手に入れたのは、今から30年近く前のこと。当時の本誌ノスタルジックヒーローのスワップミートコーナーに掲載されていたR360クーペを発見し、個人取引で購入したのだ。

この個体は購入当初、デラックスのようにルーフの色が異なる2トーンカラーに塗り替えられていた。

「他の部分はスタンダードだったので、これはおかしいと。1色に塗り替えることにしました。でも、そうして塗装を剥いでみると、ボディのダメージも見えてきて」という経緯で、菊池さんはレストアを開始。ボディの穴の溶接などの板金作業を含め、ほとんどはオーナー自らが行った。

【画像21枚】「わが国で一番安い乗用車」と大々的にうたわれていたマツダR360クーペ


>>ヘッドライトはメッキモールの形状により、タレ目っぽ印象を与える。ヘッドライトのモール上部にある小さな出っ張りは、ヘッドライトのレンズとつながっており、点灯するとわずかに光る。車幅を認識するのに役立つが、コーナーポールのようには悪目立ちしない、アイデア装備だ。

>>純正の10インチホイールとホイールカバーもピカピカの状態を維持している。

>>バンパー下にはエンジンリッドをロックするためのキーシリンダーがある。その右にある穴はクランク棒の差し込み口で、手回しでの始動も可能になっている。


1962年式 マツダR360クーペ(KRBB)


全長 2980mm
全幅   1290mm
全高.  1290mm
ホイールベース   1760mm
車両重量.  395kg
エンジン型式/種類BC型/
空冷90度V型2気筒OHV
総排気量.   356cc
最高出力(ps/rpm)16/5300
最大トルク(kg-m/rpm)2.2/4000
サスペンション前後とも
トレーリングアーム・トーションラバー独立懸架
ブレーキ前/後前後ともリーディング・トレーリング
発売当時価格31万2000円


【3】へ続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年2月号 vol.191
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1962年式 マツダR360クーペ(全3記事)

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photo:Isao Yatsui/谷井功

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