振り返れば3代目ソアラっぽいフォルムのガスタービンエンジン車トヨタGTVや、セラのコンセプトカーAXV-Ⅱの展示も|第27回 東京モーターショー 1987|トヨタ編【2】

【EV30】 当時はEVに興味を持つ人が少なかったが、トヨタは地道にEVシリーズを進化させている。その3世代目はバッテリーが注目を集めた。オープンとキャノピーがあり、工場内を自動で走る簡易経路誘導システムも盛り込んだ。

【第27回 東京モーターショー 1987 トヨタ編 Vol.2】

【1】から続く

 トヨタAXV‐Ⅱは、スターレットのプラットフォームなどを用いたオシャレな2ドアクーペで、広大なガラスエリアとガルウイングドアを特徴とする。群を抜く開放感とガルウイングドアの乗降性のよさをショーではアピールしていた。上品な赤のボディカラーにベージュ内装のほか、精かんなブラックのAXV‐Ⅱも展示されている。このショーカーは1990年にセラと名を替えて正式デビューを果たした。

 FXV‐Ⅱに近いところに展示され、メカマニアを唸らせたのがトヨタGTVだ。トヨタが長年に渡って研究を続けてきたガスタービンエンジンを、この研究試作車に積んでショーに出品したのである。2軸式のコンパクトなガスタービンユニットで、トランスミッションは電子制御4速ATを組み合わせた。排ガスがクリーンで、振動も少ない。また、冷却水を必要としないし、いざというときには灯油を燃料とすることもできる。ちなみにパワースペックは150ps/34.0㎏‐mだ。

 環境保全に対するトヨタの回答として送り出したのがEV‐30である。トヨタはモーターショーのたびにEVのシティコミューターを出品しているが、EV‐30はEV‐10とEV‐20の発展型だ。大きく進化したのはメカニズムで、鉛電池に代えて正極活物質に臭素を用いた亜鉛‐ハロゲン二次電池を搭載した。8時間の充電で、鉛バッテリーの約2倍の165㎞(30㎞/hの一定速走行時)を走ることができる。

 また、このショーのトヨタブースには、電動メタルトップの先駆となるエアロキャビンをソアラに搭載してお披露目した。販売が好調だったため、トヨタはショーカーにも元気があった。

>> 【画像8枚】晴海での最後の開催となった、第27回東京モーターショー。そのトヨタブースのメインFXV‐Ⅱなど




【GTV】
ガスタービンも古くから信奉者の多いパワーユニットだが、なかなか自動車用のものは出てこなかった。トヨタはスープラをベースにしたシャシーに2軸式のガスタービンエンジンを搭載している。外観は3代目ソアラっぽいフォルムだ。




【AXV-Ⅱ】
そのルックスを見れば、これが後に発売され、話題をまいたセラのコンセプトカーだったことが分かる。ショーカーだったが、インテリアまで上手に造り込まれ、完成度は高かった。このショーではガルウイングドアが注目を集めている。


初出:ハチマルヒーロー 2016年 9月号 vol.37
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

第27回 東京モーターショー 1987 トヨタ編(全2記事)

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【1】から続く

text : HIDEAKI KATAOKA/片岡英明 photo : JAMA/一般社団法人 日本自動車工業会

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