ハコスカ、セリカLB、S30Z、乗ってみたかったクルマはすべて揃った|1975年式フェアレディZ【3】

インジェクションモデルの最大の特徴がラジエーター前に青いエアクリーナーボックスが配置されていること。ラジエーターは高機能タイプに変換されている。

       
【2】から続く

2015年、ノスタルジック2デイズに極上でノーマルのフェアレディZが展示されることを知ったこのクルマの現オーナーは、すぐに受話器を手にして広島の井原自動車に連絡を入れていた。

【1975年式 日産 フェアレディZ vol.3】

オーナーは他にも72年式スカイライン、74年式セリカリフトバックを所有している。今回のフェアレディZで乗ってみたかったクルマはすべて揃った。もう当時のクルマが増えることはないだろう。

クルマは自営業のタイヤショップに当時のままの姿で置かれ、美しいスタイリングと新車のような輝きで、来店するお客さんを迎えている。当時を知る世代は懐かしさを、若い世代は新しさを感じて、会話もはずんでいる。何よりも、その美しい状態を維持していることから、オーナーの人となりがにじみ出ているようで、お客さんも安心して、タイヤのメンテナンスをお願いすることができるのだ。

これからも同じように店頭で人を迎え、そして人をつなぐ役割を続けていくクルマたち。その努めがあるからこそ、S30フェアレディZはいつまでもここに残るのだろうと確信してしまう。

【画像18枚】新車のような輝きを放つ1975年式 日産 フェアレディZとともに、所有するセリカとスカイラインなど。ショップに訪れた人が楽しそうに見ているのが印象的だ。ショップのマスコット的存在でもある




>>エンジンルームを吸気側(左側)からのぞくと、大きなインジェクションユニットが組み込まれていることが分かる。以前のモデルではエアクリーナーボックスが配置されていた場所だ。

>>エンジンルーム内にあるプレートに型式A-S30が記される。

>>他に所有するセリカとスカイライン。ショップに訪れた人が楽しそうに見ているのが印象的だ。ショップのマスコット的存在でもある。


OWNER’S VOICE/乗りたくても乗れなかったクルマを

若い頃、やりたいことも我慢して貯めたお金で買ったのはサバンナRX-3。今でも強い思い入れがあったが、当時、乗れなかったクルマへの思いは消えることがなかった。そして、時が過ぎ、1台ずつクルマを手に入れ、セリカ、スカイライン、そしてフェアレディZがオーナーのもとに。思い出とともに、保管すべき大切なものが増えてしまった。



1975年式 日産 フェアレディZ(A-S30)


全長4115mm
全幅1630mm
全高1295mm
ホイールベース2305mm
トレッド前/後1355/1345mm
最低地上高150mm
室内長820mm
室内幅1390mm
室内高1075mm
車両重量1115kg
乗車定員2名
登坂能力tanθ0.46
最小回転半径4.8m
エンジン型式L20E型
エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
総排気量1998cc
ボア×ストローク78.0×69.7㎜
圧縮比8.6:1
最高出力130ps/6000rpm
最大トルク17.0㎏-m/4400rpm
変速比1速3.592/2速2.246/3速1.415/4速1.000/後退3.657
最終減速比3.900
燃料タンク容量65L
ステアリング形式ラックアンドピニオン
サスペンション前後ともストラット式独立懸架・コイル
ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも6.45H14-4PR
発売当時価格137万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2019年4月号 Vol.192
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


1975年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : Keishi Watanabe/渡辺圭史 photo: Kiyoshi Nishino/西野キヨシ

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