カタログに存在するRB30をカタログに存在しないDOHCに改造【3】1972年式 ダットサン 240Z

純正の色番号が分からなかったため、似ている近い色のオレンジをベースに、7タイプのパールをミックスした独自のボディカラーで塗り直している。光の当たり具合で、パールの輝きが美しく浮かび上がったりする

       
平成の時代に活躍した直列6気筒ユニットといえば、日産はRB型、トヨタは2JZ型が代表格。RB型スワップに際し、2JZ型に負けない排気量が欲しいと考えたオーナーが目をつけたのが、輸出仕様に存在したSOHCのRB30型だ。これにRB26型のヘッドを組み合わせた3L直列6気筒DOHC24バルブのエンジンを搭載するレフティーZが出現! そのパワーと完成度がすさまじい!

【禁断のエンジンスワップ 1972年式 ダットサン 240Z Vol.3】

【2】から続く

 そこで選んだエンジンは、L型エンジンのDNAを受け継ぐ直列6気筒のRB型ユニットで、海外輸出仕様にだけ搭載された3LのSOHCとなるRB30型エンジンだ。信頼性と快適性の面で実績のある高年式のRB型なら、オーナーの注文にピッタリで、排気量の大きいRB30型なら、NAチューンでパワーを十分に発揮できる。

 チューニングを担当したのは、静岡県にある老舗の「テスタロッサ」だ。RB30型エンジンを使ったチューニングは約30年前から何台もこなしてきた実績もあり、信頼の厚いショップだ。

「海外を走っていたエンジンは、シリンダーがダメになっているケースが多いんです。なので、チューニングというよりは、使えるシリンダーにするためにボーリングを行い、純正サイズより1mm大きいJEピストンのφ87mmを組むことから始めました」 と語ってくれたのは、テスタロッサ代表の石川和由さん。こうしてボアφ87mmとストローク85mm、排気量3030ccのスペックとなるRB30型の実戦配備への下ごしらえが始まった。

このブロックにRB26型の24バルブDOHCヘッドを組み合わせることで、3L直列6気筒DOHCのNAエンジンという、日産のカタログモデルには存在しないエンジンができあがる。しかも、IN/EXカムは東名パワード製の280度(リフト10.8mm)を組み込むなど、パワー&レスポンスアップを図っている。

さらに、わずらわしいキャブは選択せず、いつでも快調に走れるインジェクションを組み合わせている。しかも、純正流用ではなく、スロットルボディはジェンビー製φ52mmキットで、インマニはRB26型をそのまま使用する。ただし、取り付けピッチが合わないため、テスタロッサでワンオフのアルミアダプターを製作し、スロットルボディを装着。インジェクターは370cc、制御はリンク製G4エクストリームでコントロールしている。

>> 【画像40枚】RB26型用のインマニにジェンビーのスロットルボディを装着するにはピッチが異なる。そのため、間にテスタロッサでワンオフしたアルミのアダプターなど



>> L型6気筒を見慣れた目には新鮮に映るRB型のたたずまい。ヘッドはRB26型を流用することで、DOHC24バルブ化。ヘッド後端の「3.0」の文字とテスタロッサのプレートがその素性を証明している。





>> ジェンビーのφ52mmの6連スロットルにより、RB30型のポテンシャルを最大限に引き出している。燃料を供給するデリバリーパイプもセットになっている。


1972年式 ダットサン 240Z(HLS30)

SPECIFICATIONS 諸元
■エクステリア:調色済みオレンジオールペイント(7色パール入り)、北米日産オプションインスペクションリッド、US製フロントスポイラー、フロントバンパークリアレンズ、フロントサイドマーカークリアレンズ
■シャシー:ボンデ板(1.2mm厚)フレーム延長加工、クスコ製左ハンドル用特注6点式ロールケージ加工(サイドバー付き、エンジンルーム&リア製作)、自作リアタワーバー
■エンジン:RB30型ブロック+RB26型ヘッド(ボアφ87mm×ストローク85mm、3030cc、圧縮比11.0:1)、東名パワード製280度カム(リフト10.8mm)/バルブスプリング、燃焼室加工、JEピストン製φ87mmピストン、HPI製オイルポンプ、S30用RB型アルミオイルパン、エンジンマウントリブ加工
■吸排気系:RB26型インテークマニホールド、テスタロッサ製ワンオフインマニアルミブラケット、ジェンビー製φ52mmスロットルボディ、S14シルビア用スロットルセンサー、ワンオフφ50mm等長手曲げタコ足(6-2)、φ60mmデュアルセンターパイプ+φ80mmパイプマフラー
■冷却系:ワンオフアルミ3層ラジエーター、汎用オイルクーラー
■燃料系:370ccインジェクター×6、ジェンビー製フューエルデリバリーパイプ、サード製燃圧レギュレーター
■制御系:リンク製G4エクストリーム
■駆動系:S15シルビア用ニスモ6速ミッション、RB型エンジン用ミッションハウジング加工、ワンオフミッションマウント(リブ加工入り)、オグラ製シングルクラッチ/フライホイール、ワンオフプロペラシャフト加工、ニスモ製R200LSD(ファイナル3.9)、エスコート製デフブラケット/デフケース、DR30用等速ドライブシャフト
■ステアリング系:軽自動車用電動パワーステアリング
■サスペンション:(F)エンドレス製ファンクション車高調、Z31用5Hハブ、クスコ製スタビライザー (R)エンドレス製ファンクション車高調、エスコート製5Hコンパニオンフランジ、S31用リアスタビライザー(ブラケットワンオフ製作)
■ブレーキ:S14シルビア用マスターバック/マスターシリンダー、R33GT-R用ブレンボキャリパー、アペックス製スリット入りローター、リアサイドブレーキ用キャリパー(アメリカ製)
■インテリア:モモ製バックスキンステアリング、ワークスベル製ラフィックスⅡ、スターロード製ショートボス、km/h表示スピードメーター(機械式→電気式加工)、スミス製タコメーター、リンク製エクストリーム連動タブレット、レカロ製プロレーサーSMS2700×2、タカタ製4点式レーシングハーネス
■タイヤ:ヨコハマ アドバン ネオバ AD08R
(F)225/45R17 (R)255/40R17
■ホイール:レイズ グラムライツ57CR 17×9J

【4】に続く


初出:ノスタルジックスピード vol.021 2019年8月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 ダットサン 240Z(全4記事)

関連記事:禁断のエンジンスワップ

関連記事:240Z



【1】【2】から続く

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text : AKIO SATO(rsf)/佐藤アキオ(rsf) photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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