自作したロッカーアーム研磨機がコレだ!【2】秘伝・ロッカーアーム再生術

館長お手製の研磨機による加工の真っ最中。当たり面の超硬チップがツルツル、ピカピカになっているのが分かる

       
カタチあるものはいずれ壊れるというが、直せるものは直したほうがいいに決まっている。
今回、館長が持ち込んできたのは、ロッカーアームの修復術。まだまだ使えるよ!

【珍車秘宝館 秘伝・ロッカーアーム再生術 Vol.2】

【1】から続く

「ロッカーアームの当たり面の研磨を行うには、最大でも50mm程度の外径の砥石がないとできません。それ以上大きいと、当たり面以外も削ってしまいます。そういう小型研磨機もあるんですが、何せ高価なので作ったんです。毎分10万回転するエアモーターに、工業用タイミングベルトで高速スピンドルを1/10ぐらい減速して、砥石を1万回転ぐらいで回します。そうすると、ロッカーアームの超硬チップをいい具合に研磨することができるのです。当たり面の精度を上げられますから、組み付け精度も上がります。まあ、一挙両得、一石二鳥ってヤツですね」とうれしそうに語る館長。その方法で仕上げられたロッカーアームを見ると、確かに当たり面はツルツル、ピカピカで滑らかになっているのが分かる。

「L型エンジンなどは、ロッカーアームのピボット部分の高さを調整できるようになっているので、そこで調整が可能です。しかし、ロッカーアームの当たり面がキッチリ揃っていなければ、微妙なズレが生じます。それをなくすことで、各気筒のバルブの動きが揃い、スムーズな吹け上がりになるんです」

 また、ほかにもこの研磨機の転用を館長は考えついたようだ。

「旋盤にこの研磨機を装着し、バルブフェースの面研磨とか、焼きが入った細いバルブシャフトの外径を研磨することができました。こういう加工は刃物の歯が立たないので、研磨で仕上げられると修復できます」とご機嫌な館長。使えないと思ったパーツを使えるようにする、これが館長の真骨頂だ。


>>【画像17枚】「U20型は、超硬チップを使ったロッカーアームを採用した国産初のエンジンではないでしょうか⁉︎」と館長に解説されたU20型用のロッカーアームなど



>> 少量生産のレーシングエンジンLY28型用のロッカーアームは、超硬チップではなく、当たり面にタングステンカーバイトなどの超硬金属を溶射している。それがはがれてしまって一大事に! スペアパーツなど手に入らない。




>> 当たり面に超硬金属を再度溶射した状態




>> 自作研磨機を駆使して、見事に再生することができた。




初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.185(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

秘伝・ロッカーアーム再生術(全3記事)

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【1】から続く

photo & text : 珍車秘宝館 館長

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