ロッカーアームの虫食いってどういうコト? どうにかするってどうするの?【1】秘伝・ロッカーアーム再生術

当たり面が磨耗したロッカーアームも研磨することで精度を高めて再利用!

       
カタチあるものはいずれ壊れるというが、直せるものは直したほうがいいに決まっている。
今回、館長が持ち込んできたのは、ロッカーアームの修復術。まだまだ使えるよ!

【珍車秘宝館 秘伝・ロッカーアーム再生術 Vol.1】

 日産のL型エンジンをはじめ、OHV、SOHC、DOHCなどの動弁系に用いられるロッカーアーム。OHVは、カムシャフトの動きをプッシュロッドという長い棒を介してバルブを開閉させる。SOHC、DOHCは、カムシャフトのカム山に沿ってロッカーアムが可動し、それをバルブに伝えて開閉するという役割を持つ。

 このロッカーアームの修復が今回のお題だ。というのは、館長の元にL型エンジンなどのロッカーアームが、虫食い状態になっているのでなんとかしてほしいというリクエストが届いた。

「ロッカーアームは、カムシャフトと直に接する当たり面に磨耗が起きます。国産では、1960年代半ば頃から生産されはじめた量産エンジンでは、ロッカーアームのカムとの当たり面に超硬チップをロウ着けしているものが多いのです。生産スピードを上げるために、あらかじめ大きな砥石で研磨仕上げをしておいた超硬チップを、ロッカーアームの上に置き、そのまま高温窯でロウ着けしていたんだと思います。なので、ロッカーアーム本体に対して、超硬チップの高さが計測するとバラバラだったりするんです。しかも、カムシャフトが接する当たり面を見ると、虫食い磨耗しているものもあります。こうなると、普通はロッカーアームを新品か程度のいいものに交換します」と館長がおもむろに説明をはじめた。手に持っているロッカーアームは、確かに表面に細かな穴が見える。

「この虫食い磨耗をなんとかできないか考えたんです。ロッカーアームの超硬チップ自体は、まだまだ使える厚みがあるので、研磨すればなんとかなるんじゃなかろうかと。なので、研磨機をを作ってみました」と館長自作の無骨な機械を取り出して見せてくれた。よく分からないが、砥石が回るようだ⁉


>> 【画像17枚】ロッカーアームに超硬チップがロウ着けされている状態が分かる研磨加工後の状態など



>> 館長お手製の研磨機による加工の真っ最中。当たり面の超硬チップがツルツル、ピカピカになっているのが分かる。





>> 左端が研磨した状態。加工前の当たり面はガタガタな状態に見える。





>> U20型用のロッカーアームを研磨機にセットし、ダイヤルゲージで測定。L型エンジンよりも古いため、精度は悪いようだ。館長いわく、「U20型は、超硬チップを使ったロッカーアームを採用した国産初のエンジンではないでしょうか⁉︎」


【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.185(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

秘伝・ロッカーアーム再生術(全2記事)

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photo & text : 珍車秘宝館 館長

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