スポーツカー史上有数のロングセラー【3】スパルタンからゴージャスへ|1991年式 ロータス エスプリSE|ハチマルユーロー

メーターパネルはエルムウッドで仕立てられる

       
スーパーカーへと完全進化したロータス

ジウジアーロ時代の先鋭的なデザインを放棄し、より穏当になったロータス・エスプリ。
総計28年もの長寿をもたらすことになったエレガントなスタイリングは、映画「プリティウーマン」や「氷の微笑」で名演するアイドル性をも帯びていた。

【 1991年式 ロータス エスプリSE Vol.3】

【2】から続く

  インテリアも、S3までのデザインコンシャスかつスパルタンなものから大きく変貌。シートのみならずドアトリムやダッシュパネル/コンソールもレザー張りとされたうえに、計器盤周辺にはウッドキャッピングが施されるなど、同時代のイギリス製高級車のようなゴージャスな空間が実現した。

 内外装の装いがリニューアルされた一方で、メカニズムはS3時代と大きくは変わらず、エンジンは直列4気筒DOHC16バルブ。ただ、それまでは鋳鉄製だったシリンダーライナーは、ニカシルコーティングを施した独マーレ社製のアルミ製へ変更。燃焼室内の冷却向上により圧縮を高めることに成功した結果、2基のキャブレターと組み合わせたNA版で172psのパワーと22.5kg‐mのトルクを獲得。さらにギャレット製T3型ターボチャージャーに水冷式インタークーラーが組み合わされたターボHCでは、最高出力215ps/最大トルク30.5kg‐mを発生することになる。

 加えてそれまでのエスプリのトランスミッションは、シトロエンSM用をコンバートしていたが、HC系以降は同じフランス車であるアルピーヌV6GT/V6ターボ用へと換装。それまで曖昧かつ不確実だったシフトフィールは大幅に向上したといわれる。

 さらに、HCおよびターボHC発売直後には、主に輸出向けにボッシュKジェトロニックを装備した「HCPI」が追加される。このインジェクション付きユニットは230psを発揮。パワーでも優れていたうえに、ドライバビリティーの点でも格段の向上を見た。

>> 【画像22枚】コノリーレザー張りのバケット形状のシートなど。オーディオやエアコンも完備



>> ジウジアーロ時代の先鋭的な雰囲気は若干失われたが、格段に豪華になったインテリア。





1991年式 ロータス エスプリ SE


SPECIFICATIONS 諸元
●全長×全幅×全高(mm) 4331×1859×1151
●ホイールベース(mm) 2458
●トレッド(mm) 1524/1554(前/後)
●車両重量(kg) 1300
●エンジン種類 直列4気筒DOHC 16バルブターボ
●総排気量(cc) 2174
●ボア×ストローク(mm) 95.3×76.2
●圧縮比 8.0:1
●最高出力(ps/rpm) 265/6500
●最大トルク(kg-m/rpm) 36/3900
●サスペンション ダブルウイッシュボーン/トレーリングアーム(前/後)
●タイヤサイズ F215/50ZR15 R245/50ZR16(標準の場合)

【4】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2016年 3月号 vol.34
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 ロータス エスプリSE(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : HIROMI TAKEDA/武田公実 photo : KIYOSHI NISHINO/西野キヨシ

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