プロになった風吹裕矢の相棒【3】ラリーに勝つためにつくられたプロトタイプストラトス|サーキットの狼世代へ|1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ Vol.3

どこから見てもストイックな印象を受けるストラトスのデザイン。軽量化を求めたデザインが先鋭さを強調する

       
サーキットの狼世代へ誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。

プロになった風吹の相棒
シルエットフォーミュラに挑む


【 1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ Vol.3】

【2】から続く

 フィアット傘下で縮小傾向にあったスポーツカーへの待遇。焦りもあらわになってきていたランチア。だからこそ、勝てるマシンを手に入れることが非常に重要なファクターとなっていたのが分かる。
 そんな折、勝てるクルマがほしいランチアの内部で、ベルトーネの放ったストラトスを生かすべく、プロジェクトが動き出したのも、ごく自然のこと。
 ラリーで勝てるクルマを造るという命題を授かった、次なるストラトス。ベルトーネは本格的なレーシングマシン製造に取り組んだ。そして、生まれたのが進化したプロトタイプのストラトス。

 モノコックボディに強固なスチールフレームを結合させ、強靭なボディ剛性を実現。ホイールベースが極端に短くされ、回頭性を高めることで、操舵性を向上させた。この極端に短いホイールベースこそ、ストラトスらしさだ。

 1974年にはホモロゲ取得のため、量産態勢に入り、翌1975年に規定台数に達したとされている。エンジンはフェラーリから供給され、強靭なボディに強力なパワートレーンが採用されたランチア・ストラトス。極端に短いホイールベースで、そのドライビングテクニックは非常にシビアであった。


>>【画像24枚】2180mmという長さは、現行の平均的な軽自動車よりも300mm以上短いことになる非常に短いホイールベースなど。それでいて、ハイパワーエンジンを搭載しているので、レースのドライビングには相当気を使うクルマであった



>> リアに配置されたエンジンルーム。エンジンはフェラーリのF2用をベースにしている。エアファンネル上部のサージタンク形状から時期を判別できる。





>> リアエンジンフードにはラゲッジスペースが確保されている




1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ


SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●3710×1750×1114mm
ホイールベース●2180mm
トレッド 前/後●1430mm/1460mm
車両重量●980kg
エンジン●水冷65度V型6気筒DOHC 横置きミッドシップ
総排気量●2418cc
最高出力●190ps/7000rpm
最大トルク●23.0kg-m/4000rpm
生産年●1974~191975年
生産台数●492台
生産国●イタリア
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。

【4】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ(全4記事)

関連記事:サーキットの狼世代へ

関連記事:ストラトス



【1】【2】から続く

©︎池沢早人師/animedia.com text:KEISHI WATANABE/渡辺圭史 photo:ISAO YATSUI/谷井 功

RECOMMENDED

RELATED

RANKING