未体験ゾーンへ。世界にひとつ、日本にソアラ。そして、こころ、走らせるもの|ソアラ伝説 まとめ

ソアラ伝説、まとめ

       
【 Z10ソアラ徹底解剖 】

ハイソカー時代を築いた最高級クーペ
デビューとともに国産車の新たな時代の幕開けを告げたソアラ
美しいスタイリングや豪華な室内、ライバルを凌駕する圧倒的なパワー、革新的な電子制御装備、
そのどれをとっても、クルマが飛躍的に進歩した80年代を象徴する一台となった。
多くのファンを心酔させ、唯一無二の存在となったソアラの全貌に迫る。

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未体験ゾーンへ

1981年式 トヨタ ソアラ 2800GT エクストラ




 ソアラの登場はセンセーショナルだった。日本車離れしたエレガントかつスポーティーなデザインに目を奪われ、6気筒エンジンを核とする高い走行性能に心が躍り、数々の先進装備と技術に新時代の幕開けを見た。そのイメージリーダーかつトップモデルだったのが2800GTだ。
 その名前が示すように搭載エンジンは2.8Lで、シングルカムの5M‐EU型をベースにアルミ製のツインカムヘッドを載せた5M‐GEU型がソアラのために新開発された。このエンジンを支えるのが、4輪独立懸架のサスペンションやワイドトレッドが特徴の高性能シャシーで、基本設計から極めて高いポテンシャルを秘めていた。


GTでリミテッドで3リッター。もっともソアラらしいソアラ

1985年式 トヨタ ソアラ 3.0GT リミテッド




 すでにモデル末期に差しかかり、次期Z20もウワサされ始めた1985年1月、トヨタはソアラに大きな改良を施した。最上位のエンジンを2.8Lの5M‐G型から3Lの6M‐G型にスイッチしたのだ。モデルライフの残りはわずか約1年。にもかかわらず、この変更は大きな衝撃を与えた。背景に高性能競争が激化していたことがあったのは言うまでもなく、この決断はユーザーに万雷の拍手で迎えられた。
 ツインカムの6M‐G型は、アクセル開度などの各種センサーから送られてくる信号により、燃料噴射や点火時期を制御するTCCSを搭載。ハイテク技術満載のソアラらしい電子制御テクノロジーを新たに加えることで、最高出力190ps、最大トルク26.5kg‐mのハイパワーを手にしたのだった。ライバルの日産レパードがV6ターボで増強したのに対して、ソアラは高性能ツインカムで対抗。パワーでは劣ったが、その地位は揺らがなかった。




Z10ソアラ徹底解剖



世界にひとつ、日本にソアラ。

1987年式 トヨタ ソアラ 2.0GT ツインターボ




 品格のあるスタイルや卓越した走行性能、時代を先取りした先進技術の数々で、瞬く間に人気モデルとなった初代ソアラ。その偉大なる先人の後を継いで1986年にデビューしたのが、2代目にあたるZ20ソアラだ。
「世界最先端技術の粋を結集した最高級プレステージスペシャリティー」をテーマに開発されたZ20ソアラは、初代の面影を残しつつ、より洗練されたスタイリングを手に入れ、新開発のエンジンやトヨタ2000GT以来となる4輪ダブルウイッシュボーンサスペンション、最先端のエレクトロニクス技術など、トヨタ最上級クーペにふさわしい装備で登場。3L DOHCターボの3.0GTリミテッドをトップに、計6グレードをラインナップした。ここで紹介するのは、2L クラス最強のスペックを誇った2.0GTツインターボである。


世界初の電動格納式メタルトップ

1989年式 トヨタ ソアラ 3.0GT エアロキャビン




 世の中にはさまざまなカテゴリーのクルマがあるが、ラグジュアリークーペはとりわけぜいたくなクルマだ。高級サルーンと同等の車格とステイタスを備え、2人乗りを想定したクーペボディに最上級の装備を詰め込んでいるのだから。ソアラはそんな上級志向のクーペだが、1989年4月に500台限定でリリースされたエアロキャビンは、そのなかでもっともぜいたくなモデルと言えるだろう。
 エアロキャビンの特徴は、なんといっても世界初の電動格納式メタルトップ。その魅力は、クーペの静粛性やボディラインを保ちながらオープンカーならではの開放感を味わえることで、クルマを降りて手動でルーフの開閉を行う必要がないことも大きなメリットだ。エアロキャビンの場合、室内の天井にある3個所のストッパーを外し、センターコンソールに設置されているスイッチを操作することでルーフの開閉が可能。気軽にオープンエアを楽しむことができるのだ。

SUPER GRAN TURISMO

1990年式 トヨタ ソアラ 3.0GT リミテッド




 初代Z10の最終モデルとして登場した3.0GTは2代目Z20にも受け継がれ、最上級モデルに君臨した。ソアラの頂点は国産車の頂点でもある。3.0GT(とくに3.0GTリミテッド)は、その宿命と期待に見事にこたえてみせたのだった。
Z20はZ10から正常進化したモデルと言える。しかし、その進化の幅は果てしなく広い。3.0GTの場合、排気量は同じ3Lだが、搭載エンジンは6M‐G型からツインカム24バルブインタークーラーターボの7M‐GTEU型へと刷新。ネット値で230psという国内最高スペックを誇った。激しさを増すパワー競争で飛び抜けた存在となるとともに、同時期にデビューした最大のライバル、日産F31レパードを置き去りにしたのだ。


Z20ソアラ徹底解剖




こころ、走らせるもの

1991年式 トヨタ ソアラ 4.0GTリミテッド アクティブコントロールサスペンション仕様車




 国産スペシャリティーの代表車種として、2世代に渡り不動の地位を死守してきたソアラ。1991年にデビューした3代目は、「大人のGT」という基本コンセプトは継承したものの、歴代モデルとはさまざまな面で異なるクルマとなった。
 もっとも大きく変貌を遂げたのが、トヨタの北米スタジオ「CALTY(キャルティ)」のデザイン案がベースとなったエクステリア。初代、2代目とコンパクトなキャビンを持つ3ボックススタイルだったのに対し、3代目では流れるような流線型のフォルムと大胆なデザインを採用。ロービームから独立させた丸型ハイビームを持つフロントマスクは、その最たる部分と言えよう。


ソアラ、誕生と足跡





ハイソカーブームの中心にいたソアラ




あらゆる部分でソアラの直接的なライバル

1987年式 日産 レパード アルティマ




 ソアラを語る上で、決して外すことができないのがレパード。数少ない国産パーソナルクーペの草分け的存在で、車格やキャラクターなど、あらゆる部分でソアラの直接的なライバルにあたるからだ。
 2代目となるF31は、ライバルを意識したクーペ専用モデルとして1986年2月にデビュー。対するソアラは前月にフルモデルチェンジし、前後ダブルウイッシュボーンサスや3Lターボ/2Lツインターボエンジン、エレクトロマルチビジョンなどを採用し、初代のキープコンセプトながら大きく進化。レパードは、またもや後塵を拝することになってしまった。


ソアラ、そのベンチマーク

1984年式 BMW 635CSi




 世界で通用する、国産初の本格グランツーリスモとして世に送り出された初代ソアラ。しかし、1980年代初頭の国産車において本格グランツーリスモは不在。そこで、目標とし、ベンチマークにしたと言われるのがメルセデス・ベンツ・SLCと、ここで紹介するBMW6シリーズだ。


初出:ハチマルヒーロー 2016年 3月号 vol.34
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)


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