伝説のエンジンTC16の市販化に向けてレース参戦! OS技研「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行を実施!【その1】

OS技研のイメ―ジカラーであるブルーのレーシングストライプが車体中央とボディサイドを彩るPB110サニー・エクセレント。ルーフ部分のみチェッカー柄となっている。

       
OS技研が開発した4気筒DOHCエンジン「TC16-C1」。これをPB110サニー・エクセレントに搭載し、クラシックカーレースに参戦する「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」は雑誌「Nostalgic SPEED」において連載中の人気企画だ。

そのOS技研がいよいよレース本番を目前に、走行テストを実施した。
その様子をリポートしていこう

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【画像10枚】テストに挑む1.8リットル仕様のTC16-C1を搭載したPB110サニー・エクセレント


市販化に向けてのレース参戦だが
若手への技術継承と経験値向上も狙い!

 2020年2月に再キックオフした、「OS技研」のオリジナル4気筒DOHCエンジンである「TC16-C1」を搭載した、PB110サニー・エクセレントによる「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」の趣旨は2つ。1つはTC16の量産化に向けた熟成テストとして、JCCAレースの最高峰であるFクラスに参戦すること。そして、もう1つは技術の継承。若手メンバーの若林宏幸さんをプロジェクトリーダーに抜擢し、TC24-B1Z×S30フェアレディZで参戦した富松拓也チーフメカニックを含む主メンバーは、今回アドバイザーとして参画。実戦を通じて次世代を担う若手に経験を積ませることが狙いである。
「目標は総合優勝ではなく、一から勉強しながら上を目指します」と何森行治社長が語るように、ある程度長いスパンを見越したプロジェクトとしてスタートした。
 ベースとして製作されたのはTC24-B1Zの4気筒版というべきTC16-C1の2.1リットル仕様。内部部品や周辺パーツを含めてすでに実績のあるものを使うことで、トラブル対策に時間を費やすことなく、開発が進められるのがメリットだ。キャブレターは同じウエーバー50DCO1/SPを2機掛けし、エキマニもTC24 用と同じパイプ長とするためにワンオフ製作。その他、ムービングパーツ類を含めて考え方はすべて継承している。
 ただ、問題がひとつある。それはJCCAレース規定で、エンジンのブロックは同一車種に搭載されているものしか使えないこと。PB110サニー・エクセレントの最大排気量は1.4リットル(L14型)でボア×ストロークはφ83mm×66mm。それに対して、暫定のTC16-C1仕様の排気量は2.1リットルでφ89mm×86mmとかなり差がある。L型はブロックのシリンダー間に肉厚がある程度あることはあるが、さすがに6mmのボアアップは不安がある。対策を施すというが、果たしてエンジンの耐久性がどれほどのものか、それをテストで検証。OS技研らしく、問題があれば対処するという従来の方法で開発は進められた。ちなみに市販版のTC16-C1は、L18型用ブロックを使う予定で、2.1リットルまで排気量を上げても問題ないとのことだ。



>>テスト当日はスーパー耐久レースのテスト走行と重なったため、ピットが空いておらず、青空での作業となった。



>>さらなる可能性を確かめるために投入される1.8リットル仕様。見た目は2.1リットルと何も変わらないが、ボアが異なる(φ89mm→φ86mm)ため、新たなブロックで製作している。


>>キャブレターはウエーバー50DCO1/SPで、TC24-B1Zと同じサイズ。従来の2.1ℓ仕様では高回転でわずかにパワーがドロップしていたため、1.8ℓ仕様のほうが相性はいいかもという判断からそのまま流用。

【その2】完成度も十分の2.1リットルと新開発の1.8リットル。どちらのTC16をテストする?|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行

【その3】いよいよ1.8リットル仕様のTC16-C1のテスト開始! しかし想定外のトラブル発生!?|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行

【その4】バルブクラッシュの原因判明。2リットルユニットも加えて続く新エンジンのテスト!|「OS技研クラシックカーレース参戦プロジェクト」がテスト走行

photo : Yukio Yoshimi吉見幸夫 /text:Shinichi Yamazaki/山崎真一

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