スペースを確保できない中、傾斜配置されたインマニ【3】ENDLESSが挑む BMW 2000 C

花里社長お気に入りのBMW2000C。軽くレストアされた状態で長く保管してあったクルマを2016年に再レストア

       
BMWの最上級モデルとして生まれた2000C。エレガントな装いにクーペスタイルを取り込み、スポーティーかつ上質なたたずまい。そんなクルマにエンドレスが味付けをして、さらなる進化をとげた。その勇姿は浅間ヒルクライムコースにあった。

【ENDLESS BMW 2000 C Vol.3】

【2】から続く

 スペース確保のためでもあったが、キャブレターに角度を付けることには賛否両論があった。しかし、エンドレスの花里功社長は過去の経験から確固たる自信をもって指示を出したという。

「キャブレターで問題視されるのは油面の位置ですが、以前、同じようにキャブレターに角度が付いた2サイクルのフロンテクーペに乗っている時、コーナーであっても、エンジン燃焼のばらつきがないことを確認していました。なので、2000Cも大丈夫だろうと、角度付きのインマニを作ったんです」

 花里社長の言葉通り、実際のヒルクライムコースでも、エンジンの吹け上がりは快調。実際の経験からクルマ造りを行ってきたからこその結果だった。

 パワーばかりでなく、クルマ本来の特徴でもある美しさにもこだわっている。エンケイのネオクラシックシリーズ92を履かせ、美しいたたずまいを探り出すために、車高調整が繰り返されたという。フェンダーミラーは、ノーマルと比べて、やや後方に取り付け、ミラー本体は薄いタイプを使用している。全体的にシルエットがまとまり、スッキリとした印象を与えてくれる。

 美しく、力強い走り。古い車でもスポーティーさを目指したクルマ造りはエンドレスの目指すところ。また、このBMW2000Cというクルマに対して花里社長もに特別の思いがあった。

「ツーリングカー選手権やスーパー耐久でBMWの素晴らしさを目の当たりにしていたので、BMWの良さを十分に理解していました。だからこそ、古いからといって妥協するのではなく、古くてもしっかり走れるクルマにしてやろうと思いました。難しいこともありましたが、正直にやれば正しい道が開けてくるんですよ」と語ってくれた。


>>【画像37枚】TRSのレース用5点式シートベルトを2点式シートベルトに変更して使用している。当時のシルエットを保ちながらも、安全性の高さを確保するアイデアだ




パーツのレストア作業をする花里社長。重要なパーツは自身でレストア作業をしている。バンパーの形状修正など、細かい作業を行っている。





すべてを取り外し、カーペットやパネルを装着している。見えない個所も美しい。






パーツを取り外し、すべてイチからやり直し、徹底的に手が入れられた。各パーツは協力してくれるメーカーや職人へと分散し、素晴らしい状態になって戻ってきた。


ガレージの片隅では日野コンテッサのレストアが





同社ではスペアでコンテッサを手に入れたのだが、このクルマが当時のディスク仕様であった。国産初のディスクブレーキを搭載した市販車両。ブレーキのエンドレスのもとに巡ってきたことに運命を感じてしまう。





ガレージの片隅では日野コンテッサのレストアが進んでいる。フロアに穴が開いていたボディは新車のホワイトボディのような状態にまでレストアされている。






各社に出していたパーツや取り寄せたパーツも集まってきたので、ようやく組み上げがスタートする。





初出:ノスタルジックヒーロー 2017年10月号 vol.183
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

ENDLESS BMW 2000 C(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : AKIO SATO/佐藤昭夫 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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