「ひとりで旧車に乗っているのはつまらないから」と誘われて400km|1972年式 日産 スカイライン HT 2000 GT

いつでも勝負に挑めるように Sタイヤで武装した本気マシン。

       
時代の移り変わりと共に進化してきたL型ユニット。いまだに新しい技術やノウハウが生み出されている。それだけ長きにわたって愛されてきたあかしともいえる。今回登場するのは、そんなL型をベースにあふれんばかりのトルクを与えたチューンド実例。エンジン製作はL型を知りつくしたプライベーター「サトタツ」上がりのハコスカをじっくりご覧いただこう。
【1972年式 日産 スカイライン HT 2000 GT Vol.1】

 ラインロックを作動させて、アクセルを踏み込む。するとリアに収めたSタイヤからおびただしい量の白煙が吹き出し、周囲を包み込んだ。ストリートゼロヨン全盛期に一世を風靡したハコスカ・フルチューンの雄姿である。懐かしい思いがわき上がってくる光景であるが、そのシートに身を委ねるのは、ハコスカ黄金期を知らないはずの世代のオーナー。

 それまでR32GT‐Rや80スープラ、ベンツやランクルなど、数え切れないほどのクルマを乗り継いできた彼がこのハコスカを入手したのには、実はそれほど深い理由があるわけではない。弟さんが営むカーショップ「テックオート」で知りあった510ブルーバード乗りの方が「ひとりで旧車に乗っているのはつまらないから」と、オーナーを誘ったのがきっかけだ。ちょうど自身の父親が「昔、所有していたハコスカにもう一度乗りたい」と言い出したことも後押しした。

 そこで程度のいい2ドアを探していたところ、函館から遠く離れた帯広に、レストア済み車両の売却を考えているクルマ屋がいるという情報をキャッチ。400km以上離れた現地まで駆けつけ、即購入を決断したそうだ。


>>【画像19枚】 ミッションは亀有クロス。パフォーマンス用に装備されたラインロックなど



レストア済みのハコスカを5年前に購入。特に手を入れていないという車内はオリジナル状態をとどめる。各種追加メーターも美しくインストールした。電動パワステ付きなので車庫入れもラクにこなせる。





ミッションは亀有クロス。パフォーマンス用にラインロックも装備され、バーンアウトも思いのまま。






シートはレカロのセミバケットタイプを選択。ニーホールドが低いタイプにしているとのこと。


1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT (KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:チンスポイラー、リアスポイラー、前後オーバーフェンダー、全塗装(TECHオリジナルカラー)、ボディセミレストア、HIDヘッドライト
■エンジン:L28型改3.4L(サトタツ仕様)、P90ヘッドベース、亀有Iカム(IN&EX:77度 10mmリフト)、イスキー製バルブスプリング、クロモリバルブリテーナー、3mm厚メタルガスケット、ワイセコ製ピストン(ピンハイト27mm)、137.5mmコンロッド、フルカウンタークランクシャフト(87.5mm)、燃焼室加工、ポート拡大加工
■点火系:亀有エンジンワークスMDI
■吸排気系:ソレックス50PHH、等長タコ足、オールステンレス製マフラー
■冷却系:アルミラジエーター、アールズ製オイルクーラー
■駆動系:亀有エンジンワークス製クロスミッション、R200デフ
■足回り:(F)メーカー不明車高調 (R)スターロード製車高調/メンバーカラー
■ブレーキ:(F)S15純正4ポットキャリパー (R)アルフィンドラム
■インテリア:レカロ製セミバケットシート×2脚、永井電子機器製タコメーター(φ80mm、ニスモ仕様)、オートメーター製追加メーター(燃料、燃圧、水温、油温、油圧)、電動パワステ、ナルディ製ステアリング
■タイヤ:アドバンA050 (F)205/45R16 (R)225/45R15
■ホイール:ワーク・マイスターCR01

【2】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年2月号 vol.015(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン HT 2000 GT(全4記事)

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text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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