「5〜6年もの間放置されたうえに、そのお店がまさかの倒産」紆余曲折となったレストア作業|1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R

前後オーバーフェンダーやドア下部のスカートモール、黒く塗装されたフェンダーミラーもGT-Rの専用装備となる。ファインパーツ/クラシカ横濱の手により美しくよみがえったボディは、新車顔負けのコンディションを誇っており、ボディの下まわりは電着塗装で仕上げられた。

       
1957年4月、プリンス自動車工業は新型車プリンススカイラインを発売した。それから60年、今なおスカイラインは日本を代表する乗用車として、人々の心をつかんでいる。今回のスカイライン特集では4代目C110、3代目C10、2代目S50系、そして初代ALSIの各モデルを掲載。それぞれ個性的な個体を集めて、モデルごとの魅力を改めて探ってみることにした。クルマ好きはなぜ、スカイラインにひかれるのだろう。

【1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R Vol.3】

【2】から続く

 2001年に手に入れた愛車は、「見た目はキレイだったのですが、半年ほどするとエンジンがくすぶったり、パテ補修の部分がヒビ割れるなど決して満足いく状態ではありませんでした。そこでレストアをしようと某店を頼ったのですが、5〜6年もの間放置されたうえに、そのお店がまさかの倒産という苦い目にあいました」と振り返る。
 しかも信じ難いことに、大切な愛車は勝手に部品取りにされ、原形をとどめないほどだったという。まさに八方ふさがりの状況だったが、そんな時に救いの手を差し伸べてくれたのが、「ファインパーツ 職人かたぎ事業部」の黒田義光社長。スタッフの協力で、大切なRを救出してくれたのだ。


>>【画像32枚】リンケージなど細かい部分まで再メッキ。純正エアクリーナーボックスには、ワイヤーを固定するステーが付くのも特徴であるKPGC110など


 紆余曲折となったレストア作業だが、愛車の恩人ともいえる黒田社長に全幅の信頼を寄せ、そのままレストア作業をゆだねた。その結果、エンジンからボディまで妥協なく手が入れられ、オーナーの元にふたたび愛車が戻ってきたのは10年ぶりのことだった。

 ところが、仕事が多忙なこともあり納車から3年が経った現在も、走行距離は500kmほどしか伸びていない。美しく磨き上げられたケンメリRとともに走りまわる楽しみは、仕事を引退した後のご褒美に取ってあるそうだ。


OWNER’S VOICE
大切な愛車をよみがえらせてくれた、ファインパーツ/クラシカ横濱に感謝しています


「偶然手に取ったノスヒロに出ていたケンメリRは、ファインパーツの黒田代表のクルマで、あんなふうにキレイに仕上げて乗りたいという願いがようやくかないました。ここまで長かったなというのが正直な感想です。いろいろありましたが、黒田代表をはじめ皆さんのお陰で、安心して乗れるクルマに仕上がりました。純正の雰囲気を大切にして乗り続けていきたいです」



エンジンルームもご覧の美しさ。S20型に精通するプロテックでOHが実施されており、耐久性を重視して鍛造ピストンが組み込まれ、点火系もファインチューン。





純正タコ足は、クラックが入りやすく、補修しても亀裂が再発しやすい。そこでタコ足はプロテックのステンレス製に変更している。排気をスムーズに流すことで、エンジンのストレスを取りのぞく効果も期待できる。



1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(KPGC110)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4460mm
全幅 1695mm
全高 1380mm
ホイールベース 2610mm
トレッド前/後 1395 / 1375mm
最低地上高 165mm
室内長 1790mm
室内幅 1340mm
室内高 1125mm
車両重量 1145kg
乗車定員 5名
最高速度 200km / h
登坂能力tanθ 0.46
最小回転半径 5.2m
エンジン型式 S20型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1989cc
ボア×ストローク 82.0×62.8mm
圧縮比 9.5:1
最高出力 160ps / 7000rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5600rpm
変速比 1速 2.906 / 2速 1.902 / 3速 1.308 / 4速 1.000 / 5速 / 0.864 / 後退 3.382
最終減速比 4.444
燃料タンク容量 55L
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール式
サスペンション前/後 ストラット式独立懸架 / セミトレーリングアーム独立懸架
ブレーキ前後とも ディスク
タイヤ前後とも 175HR14
発売当時価格 163万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年2月号 Vol.179(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1973年式 日産 スカイライン ハードトップ 2000 GT-R(全3記事)

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【1】【2】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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