3台の旧車商用車を所有「空冷のバタバタ音を聞きながら走るのは、最高のストレス発散」|1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス

2ドアバンのボディを持つパブリカバン。全長3.67m、全幅1.46m。今の軽自動車が全長3.4m、全幅1.48mなので、ほぼ同じようなサイズだ。

       
昔は各自動車メーカーから、多くの乗用車型商用バンがラインナップされていた。
普段は乗用車のように乗れ、いざとなれば多くの荷物を積むことができる働き者たち。
今あらためて彼らの姿を見ると、懐かしい昭和の風景を思い出さずにいられない。

【1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス Vol.3】

【2】から続く

 商用車が好きなオーナーは、初代パブリカバンを探していたそうだが、価格が折り合わず手が出なかった。そんなある日、インターネットの中古車サイトで2代目バンを発見。販売店が遠方だったため、現車確認ができず画像だけで購入を決めたが、届いたクルマはとても程度がよかったという。

「空冷のバタバタ音を聞きながら走るのは、最高のストレス発散です(笑)。当時の不人気車と言われている2代目パブリカのバンで、同じクルマに乗っている人と出会わないのがいいですね。人も乗れて荷物も積める、とても便利なクルマで気に入っています」
 現在3台の旧車商用車を所有。1970年式スバルサンバーバン、1973年式サンバートラック、そしてパブリカバンで、毎日の通勤にローテーションさせながら乗っているという。
「3台順番に乗るのが毎日の生活の中に組み込まれています。やはり乗ってあげないと調子が悪くなるので」

 旧車はスポーツカーやセダンだけでなく、商用車にも根強いファンが多い。装備も簡素でシンプルな乗り物であり、潔さすら感じられる。オーナーも、そこに魅せられた一人に違いない。


>>【画像21枚】左側にカモシカとチェッカーのバッジが付くフロントグリル、カモシカのマスコット・エンブレムが付く左右のフェンダーなど

OWNER’S VOICE/空冷パブリカバンに満足


念願だった空冷エンジン搭載のパブリカを愛車にできて、ご満悦のオーナー。ふだんのメンテナンスや軽整備は、自分で行っている。左は息子さん(長男)で、お父さんのパブリカに乗せてもらうのが大好きだ。




シンプルで実用性の高いインストルメントパネル周り。センタートンネルの左側にある汎用の扇風機は、クーラーのない旧車ではマストアイテム。





140km/hまで刻まれたスピードメーターを中心に、左端に燃料系、右端にオイルとチャージのパイロットランプを備える。






シートは通気性発泡レザー。カタログでは「からだになじむバケットタイプ」と記されており、NEWパブリカ独特の「99パーセンタル」設計(100人中99人が理想の運転姿勢がとれる)となっている。


1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス(UP36V)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3675mm
全幅 1460mm
全高 1395mm
ホイールベース 2160mm
トレッド前/後 1235 / 1200mm
荷物室長 1300mm(2名乗車時)、740mm(5名乗車時)
荷物室幅 1220mm
荷物室高 855mm
車両重量 675kg
乗車定員 5名
最大積載量 300kg
最高速度 115km / h
登坂能力sinθ 0.307
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 2U-C型
エンジン種類 空冷水平対向2気筒OHV
総排気量 790cc
ボア×ストローク 83×73mm
圧縮比 8.2:1
最高出力 40ps / 5000rpm
最大トルク 6.4kg-m / 3000rpm
変速機 前進4段 / 後退 1段 オールシンクロメッシュ
変速比 1速 4.200 / 2速 2.400 / 3速 1.684 / 4速 1.125 / 後退 4.333
最終減速比 3.890
燃料タンク容量 30L
ステアリング型式 ウォーム・セクタローラ式
サスペンション前/後 独立懸架ストラット式 / 半楕円板バネ式
ブレーキ 前後ともドラム
タイヤ 前後とも5.00-12-4PR U.L.T.
発売当時価格 39.5万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年 10月号 Vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 トヨタ パブリカ バン 800 デラックス(全3記事)

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【1】【2】から続く

photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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