「最強」というアイデンティティを取り戻したスカイライン|1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X Vol.2

ヘッドカバーとインマニは純正同色で結晶塗装仕上げ。ユーティリタスではインテークパイプの黒結晶塗装も受け付けている。

       
【1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X Vol.2】

【1】から続く

 デビューから2カ月後の同年10月、かねてからウワサのあったツインカムエンジン搭載モデルが、ついにベールを脱ぐこととなった。それがレーシングスポーツを意味する名前が与えられたRSシリーズのDR30だ。搭載エンジンは、S20型以来のツインカム4バルブとなる新設計のFJ20E型だ。S20型といえばハコスカやケンメリのGT‐Rに搭載された名機。それ以来なのだから、FJ20E型に対するファンの期待は自ずと高まった。

 事実、FJ20E型のスペックは期待を裏切らないものだった。従来エンジンの改良版ではなく、完全新設計のFJ20E型は、ツインカム4バルブの優れた高回転・高出力、高レスポンスを活かし、150psを達成。また、耐久性と信頼性の高い2段駆動タイミングチェーンを採用するなど、新設計らしいさまざまな技術が与えられたのも特徴で、その成り立ちはレースをも見据えたものだった。

 だが、FJ20E型はこれでは終わらない。1983年2月にはターボチャージャーを装着し、190psまでパワーアップを果たしたFJ20ET型を追加。ターボRSと命名されたこのモデルは、歴代スカイラインでもっとも高出力を発揮したことから、「史上最強のスカイライン」をうたった。さらに進化は続き、1年後の1984年2月に量産車で世界初となるツインカム4バルブターボ+インタークーラーを発表。ついに大台を突破し、205psというハイスペックを手に入れた。このモデルは通称「ターボC」と呼ばれる。

▶▶▶【画像26枚】希少な純正の新品を装着するマフラーなど

 FJ20E型を搭載するRSシリーズの登場により、「最強」というアイデンティティを取り戻したスカイライン。言うまでもなく、ファンはDR30に酔いしれた。この人気を増長させたのが、スーパーシルエットでのド派手なレースや、テレビドラマ・西部警察だ。こうしてハチマル界のレジェンドとなったDR30は、いまだにその輝きを失うことなく、ファンに愛され続けている。



エンジンルームで輝くメッキパーツは再メッキ加工により仕上げられ、ホースは新品に交換。さらに、一度外されたボルトやナット、ビスは新品または磨き上げられたリビルト品に交換。




クロスメンバーを専用塗装するなど下回りも抜かりなく仕上げられる。また、ドライブシャフトやデフのオーバーホールやスタビブッシュの新品交換なども実施している。


1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X(DR30)
Specification 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4620×1675×1360
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1420/1410
車両重量(kg)  1245
エンジン型式 FJ20ET型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1990
ボア×ストローク(mm) 89.0×80.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 205/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/4400
変速比 1速3.321/2速1.902/3速1.308
4速1.000/5速0.838/後退3.382
最終減速比 3.900
ステアリング形式 リサーキュレーティングボール
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 287.9万円


【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 08月号 vol.26(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 日産 スカイライン HT 2000 ターボ インタークーラーRS-X(全3記事)

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【1】から続く

Text : Rino Creative/リノクリエイティブ Photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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