ギアを落してもなかなか上っていかない1300DX「いつかは自分もSSSを…」と誓ったものの|1970年式 日産 ブルーバード SSS クーペ Vol.2

モータリゼーションが加速した1967年に登場した510。

       
【1970年式 日産 ブルーバード SSS クーペ Vol.2】

【1】から続く

 今回、紹介するサファリブラウンのSSSは、1970年式2ドアクーペ。実はこの車両のオーナーは、若かりし頃に510の標準車である1300DXに乗っていたそうだ。

「コラム式3速マニュアルでした。力不足で急な坂道では、ギアを落してもなかなか上っていかない。その横をSSSがスイスイと走っていくのを見て、あこがれました」と、当時を振り返る。


▶▶▶【画像22枚】走りのグレードであることを強くアピールするチェッカーフラッグ入りとなるフロントグリルやピラーベント、テールランプ下のSSSエンブレムなど


「いつかは自分もSSSを…」と誓ったものの、多忙な毎日に歳月だけが過ぎていった。そんなオーナーに転機が訪れたのは12年ほど前。旧友と再会して昔話をしているうちに510への思いが再燃。ちょうどその頃、ガレージ付きの自宅に引っ越したこともあり、群馬県のスピリットガレージで中古のSSSを手に入れたそうだ。

「屋内ガレージならコンディションも維持できるかなと思い、半ば勢いで購入しました。それから12年間、大きなトラブルは一度もありません」。

 昨年にキャブレターのOHも実施し、ますます快調という愛機。ミーティングに参加したり、ふらりとドライブに出掛けたり…。憧れだったSSSはその車名のごとく、オーナーに多くの幸せを運んできているようすだ。



スピードメーターは180km/hスケールとなり、タコメーターや油圧計も設置される。カーラジオの上にはマップランプも備わる。





雰囲気のあるバケットシートも購入当時に装着されていたもの。純正シートを探しているが、なかなか出てこないそうだ。




シートのヤレもなく良好なコンディションを保つ。室内空間は意外に広く、大人4人でドライブが可能。リアシートの背もたれは手前に倒すことができる。フラットになるので荷物の積載時は便利だが、トランクスルー機構は付いていない。



1970年式 日産 ブルーバード SSS クーペ(KP510)
Specification 諸元
全長 4120mm
全幅 1560mm
全高 1395mm
ホイールベース 2420mm
トレッド前 / 後 1270 / 1280mm
最低地上高 210mm
室内長 1635mm
室内幅 1270mm
室内高 1115mm
車両重量 935kg
乗車定員 5名
最高速度 165km / h
登坂能力tanθ 0.479
最小回転半径 4.8m
エンジン型式 L16型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1595cc
圧縮比 9.5:1
ボア×ストローク 83×73.7mm
最高出力 100ps / 6000rpm
最大トルク 13.5kg-m / 4000rpm
燃料供給装置 SU型ツインキャブレター
変速比 1速 3.657 / 2速 2.177 / 3速 1.419 / 4速 1.000 / 後退 3.638
最終減速比3.900
燃料タンク容量46L
ステアリング形式リサーキュレーティングボール式
サスペンション前 / 後独立懸架ストラット式 / 独立懸架セミトレーリングアーム式
ブレーキ前 / 後ディスク式 / リーディングトレーリング式
タイヤ前後とも5.60-13 4PR
発売当時価格76.3万円


【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 日産 ブルーバード SSS クーペ(全3記事)

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【1】から続く

text : DAISUKE ISHIKAWA/石川大輔 photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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