ワンオーナー/シングルナンバーで、フルレストアを施したコンクールコンディション|1970年式 トヨタ 2000 GT Vol.2

航空機のレイアウトが取り入れられたというインパネ。ステアリングには、国産車初のテレスコピック機構も採用された。

       
【1970年式 トヨタ 2000 GT Vol.2】

【1】から続く

高度なメカニズムが満載だったトヨタ2000GT。さらにエンジン以外でも、強靭なX形バックボーンフレームを採用し、4輪ダブルウイッシュボーンサスや国産車初の4輪ディスクブレーキ、ラック&ピニオン式のステアリング、マグネシウムホイールなど、当時の国産車では極めて珍しい装備がいくつも取り入れられたのである。そして、これらの当時最先端技術が惜しみなく投入されたことで、前述した輝かしい記録が生まれたのだ。

 その一方で、豪華な室内も特徴だった。マホガニーのステアリングやウォールナット/ローズウッドを使ったインパネ、上質なフルパッドのダッシュボードなど、ただのスポーツカーとは異なる豪華さを持ち合わせていたのだ。このように、当時の国産車とはすべてがケタ違いだった2000GTは、337台(輸出仕様も含む)で生産終了。その希少性もあり、取材当時でも海外のオークションでは1億円を超える値が付けられるほど高騰していた。

 今回の取材車両は、そんな値が付いても不思議ではない1台。というのも、ワンオーナー/シングルナンバーで、フルレストアを施したコンクールコンディションを維持。この奇跡の個体を、ぜひ堪能してほしい。

▶▶▶【画像20枚】マグネシウム製となる純正のホイール。後期の特徴である黒塗りのフェンダーミラーなど




クラウンに搭載されたM型をベースに、ヤマハがDOHC化した3M型。当時としては驚異の150ps/18.0kg-mというスペックを発揮した。




シートももちろんオリジナル。リクライニング機構付きのバケットタイプで、前後14cmのスライドが可能。ヘッドレストは後期から装着された。




ペダルはオーソドックスなデザインだが、注目はフットレスト上のボタン。これはヘッドライトのディマースイッチだ。




1970年式 トヨタ 2000 GT(MF10)
Specification 諸元
全長 4175mm
全幅 1600mm
全高 1170mm
ホイールベース 2330mm
トレッド 前 / 後 1300 / 1300mm
最低地上高 155mm
室内長 770mm
室内幅 1430mm
室内高 950mm
車両重量 1145kg
乗車定員 2名
最高速度 215km / h
0→400m加速 15.9秒
登坂能力sinθ 0.552
最小回転半径 5.0m
エンジン型式 3M型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHC
総排気量 1988cc
ボア×ストローク 75.0×75.0mm
圧縮比 8.4:1
最高出力 150ps / 6600rpm
最大トルク 18.0kg-m / 5000rpm
トランスミッション型式 前進5段後退1段、オールシンクロ
変速比 1速3.074 / 2速1.838 / 3速1.256 / 4速1.000 / 5速 / 0.866 / 後退3.168
最終減速比 4.375
燃料タンク容量 60L
ステアリング形式 ラック&ドピニオン(15.1)
サスペンション 前後とも ダブルウイッシュボーン
ブレーキ 前後とも ディスク
ホイール 前後とも マグネシウム(5J)
タイヤ 前後とも 165HR-15
発売当時価格 238.55万円

【3】に続く

初出:Nostalgic Hero 2016年 4月号 vol.174(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 トヨタ 2000 GT(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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