あえてエンジン本体には手を入れずに90年代のエンジンを搭載したハコスカ｜1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT　Vol.2

常識を打ち破るには、並々ならぬ苦労がともなう。これはクルマ作りの世界においても同様。
ハコスカのR仕様にL28型改、ソレ・タコ・デュアルといった王道チューニングを否定するわけではない。
しかし、時には革新も必要だ。創業30年の名門、ヴィンテージ宮田自動車が提案するのは、そんな21世紀流のハコスカメイク。
快適性と安心感、そして走りの楽しさを備えた、新鮮味のあるカスタムを施した1台を紹介しよう。
それがRB20E型エンジンを搭載したこのハコスカだ。

【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT　Vol.2】

【1】から続く

　実はこのハコスカの製作で重要視したのは、絶対的な速さではない。街乗りも快適にこなせて、高速道路でも安心してアクセルを踏み込める。そんな安定感のある走りを目指したという。

　それゆえにRB20E型の本体には手を入れず、走行距離が少ない程度がいいエンジンをそのまま積み込んだ。ただし、旧車らしい雰囲気のあるエンジンルーム作りにはところんコダワった。OER製キャブレターやオリジナルのエキゾーストマニホールドを装着し、タペットカバーにはレース用LYヘッドを彷彿とさせる意匠を施している。


▶▶▶【画像26枚】ドライカーボンアイテムをピンポイントで使ったフェンダーミラーやルームミラーなど


　「パワーは160psくらい出ていればいいほうかと思います。それでも街中を普通に流すぶんには十分ですし、ムリにパワーを絞り出しているわけではないのでトラブルも出にくい。ロングライフが期待できますよ」と続ける。

　エンジンの製作コストを抑えた代わりに、このハコスカではシッカリとした土台作りに力を注いでいる。Bピラーがないハードトップゆえ不安のあるボディ強度を上げるため、スポット溶接と補強材を各部に追加。パネルの継ぎ目があるミッショントンネルや歪みやすい開口部を中心に補強された。




フェンダーラインを上げたうえで、鉄板の合わせ面もキッチリと処理。リスタードのオーバーフェンダーを追加する。ホイールはボルクレーシングTE37Vの15インチで、サイズはフロント9J-15、リア10J-25




トランク内にステンレス製の100L安全タンクをセット。これを囲むように補強バーを追加することでボディの剛性アップを実現。



このハコスカのレストア過程はノスタルジックヒーロでも1年間に渡りリポートしたので、ご存じの読者も多いはず。高い技術力で見事に復活！　



1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:フルレストア&ボディ強化
　(スポット増し、防錆・防振・剛性・静粛性)、
バイブラントレッド、前後ちょいでかオーバーフェンダー、
全面白ガラス、GT-R仕様、ドライカーボンフェンダーミラー
■ エンジン:RB20E型、LY風ヘッドカバー、
OERφ45mmキャブレター、ワンオフ等長タコ足(6-2-1)、
RSスタート製マフラー(φ80mmシングル)
■ 点火系:純正デスビ改、亀有製フルトラキット、
WAKOテクニカル製スーパーZコイル
■ 燃料系:100Lタンク(ステンレス)、ミツバ電磁ポンプ
■ 冷却系:電動ファン
■ 駆動系:71Cミッション、
ワンオフミッションメンバー、クスコ製LSD
■ サスペンション:ワンオフ車高調(リアコイルオーバー)、
フルピロアーム(メッキ)
■ ブレーキ:ブレンボ4ポットキャリパー&ローター(φ280mm)、
ウイルウッド製ブレーキバランサー
■ インテリア:特注GT-R風リクライニング加工シート、
ダッツンコンペステアリング(加工)、
インダッシュエアコン、電動パワステ
■ タイヤ:ブリヂストン・ポテンザ
　(F)RE-71R 205/50R15(R)RE-01 225/50R15
■ ホイール:レイズ・ボルクレーシングTE37V(ブロンズ)
　(F)15×9J-15(R)15×10J-25

【3】に続く


初出：ノスタルジックスピード 2016年 7月号 vol.010（記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです）

1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT（全3記事）

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