「最近の速いクルマに『古いから負けた』と言い訳したくないですから……」|1993年式 日産 スカイライン GT-R トミーカイラR  Vol.3

ハイパワーとともに高いスタビリティとオンザレール感覚の操縦安定性を目指してトミーカイラRは開発されたと言う。

       
【1993年式 日産 スカイライン GT-R トミーカイラR  Vol.3】

【2】から続く

 今回のオーナーも、GT‐Rとトミーカイラに憧れた一人だ。ただ、20代前半という若さ。GT‐Rもチューナーとしてのトミーカイラも、リアルタイムで見てきたわけではない。「父の影響が大きいですね。2、3歳のころにはミニカー片手にグループAを見てたそうですから。一番好きだったのはインパルのカルソニックブルー。だから、GT‐Rはずっと憧れでした」と語る。そんな幼少期を過ごしたオーナーは、おのずと速いクルマが好きになった。

 免許取得後、憧れのR32GT‐Rの購入を検討したが、維持していけないと思い断念。代わりにスバル・レガシィB4を購入し、運転スキルとチューニングを磨いていった。そんなオーナーに転機が訪れたのが昨年。以前から付き合いのあった中古車店にこのトミーカイラRが入庫したのだ。「もう嘘かと思いました。もちろんトミーカイラRの存在は知っていましたけど、中古車で探しても全然見つからなくて。それが目の前にあるんですから……これを逃したら二度と手に入らないと思って買いました! 」と運命的な出合いを語る。以来、着実にさらなるチューニングを進め、速さを追求している。

 レースで圧倒的な強さを誇ったGT‐Rとカリスマ的チューナーのトミーカイラという、2つの強烈な個性が交わって誕生したトミーカイラR。その伝説は今でも語り継がれている。


OWNER’S VOICE/クルマは走らせてナンボですから!

 この若さでトミーカイラRを手にしたオーナー。速いクルマが好きなのと同時に、自身も速く走ることが好きとのこと。「最近の速いクルマに『古いから負けた』と言い訳したくないですから、腕を磨きながら速いクルマを作っていきたい」と語る。これからセッティングを煮詰めて、本格的にサーキット走行を始めたいそうだ。また、愛車への愛情もひとしおで、フロントシートの補修と内装のリフレッシュも計画。大事に乗っていくことを誓った。



随所にトミーカイラのテイストが散りばめられるコクピット。エンジンルームのコーションプレート横に設置されるトミーカイラRであることを証明するプレートなど【写真21枚】



基本的にベースのGT-Rと同じコクピットだが、随所にトミーカイラのテイストが散りばめられる。専用本革ステアリングは操作性を考慮したφ365mmで、グリップ径も握りやすさを追求。





300km/hまで刻まれたメーターにもロゴが入り、レッドの照明に「Tommykaira」の文字が浮き上がる。





オリジナルは本革の専用アイテムだが、ニスモのGTシフトノブに変更。クラッチもニスモのカッパーミックスとフライホイールに変更済み。



1993年式 日産 スカイライン GT-R トミーカイラR(BNR32)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4545×1755×1340
ホイールベース(mm)  2615
トレッド(mm) 1510(前後とも)
車両重量(kg)  1480
エンジン型式  RB26DETT型
エンジン種類 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2568
ボア×ストローク(mm) 86.0×73.7
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 350/7600
最大トルク(kg-m/rpm) 36.0/6000
変速比 1速 3.214/2速 1.925/3速 1.302/4速 1.000/5速 0.752/後退3.369
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 マルチリンク(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 245/40ZR17(前後とも)
発売当時価格 698.0万円

【1】【2】から続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 05月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1993年式 日産 スカイライン GT-R トミーカイラR (全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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