専用パーツとS20型エンジンを組み込んだ特別な Z 3

リアスポイラーに張られた車名のエンブレム。赤い432の文字は憧れだった。

日産フェアレディZ432-R


 1980年代以降、自動車メーカーが世界レベルのモータースポーツ参戦のために「ホモロゲーションモデル」と呼ぶ特別仕様車を生産した。そのような中で生産されたのが、フェアレディZにDOHCのS20型エンジンを搭載したZ432-Rである。

 しかしルールやカテゴリーは異なるものの、日産が国内レース参戦のために、69年にフェアレディZ432-Rを生産した事実は、今さらながらすごい決断と実行力だったと言えよう。ワークス仕様のZ432-Rが初優勝を遂げるのは、70年4月に開催されたレース・ド・ニッポン富士6時間。北野元╱長谷見昌弘のコンビが1勝をものにした。

 これをきっかけにプライベーターたちも、日産が用意したスポーツキットを組み込んだZ432-Rで参戦を開始。ワークス勢をしのぐ速さを見せるマシンも登場して、Z432-Rでのレースエントリーが活気づいたかに見えた。しかし、S20型エンジンのピーキーなエンジン特性は扱いが難しく、次第にL24型エンジンを搭載した240Zに、ベース車の主流が移っていった。Z432-Rの活躍は1年少し。短命なレースマシンだった。



掲載:ノスタルジックヒーロー 2011年10月号 Vol.147(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Isao Yatsui/谷井功

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